第一章 大人気の新人女教師

PART 1

 四月八日、月曜日。名門私立K大附属高校の体育館に、全校生徒のざわめきが満ちていた。

 今日は新年度の全校集会だ。 壇上に並ぶ教員たちの背後で、桜の花びらが窓からちらちらと舞い込んでいる。春の匂いと、制服の新しい生地の匂いが混じり合い、体育館全体を柔らかく包んでいた。

 壇上の端に、一人の若い女性が控えめに立っていた。江藤佳純、二十三歳、本日付で二年一組の担任、そして数学担当として赴任したばかりの新人教師だ。
 白いブラウスは薄手の生地で、朝の光を透かして淡い肌の輪郭をほのかに浮かび上がらせている。紺のタイトスカートは膝上五センチほど。名門校の規定に則った長さではあるが、彼女が一歩踏み出すたびに、ヒップの丸みが柔らかく、しかしはっきりと布地を押し上げて揺れる。
 158センチの小柄な体躯に、86−60−90という数字は、まるで不釣り合いなほど豊かに収まっていた。

 K高校は小規模な学校で、1学年3クラス、全校で350人……しかし、体育館に全員が揃い壇上を見上げてる様子に、佳純の胸の鼓動は早くなっていた。うまく挨拶できるかな、みんな、歓迎してくれるかな……

「次に、新任の先生の紹介です」
 校長の落ち着いた声が響き、マイクの前に佳純が一歩進み出た。
 歩くたび、プリン、と弾むような尻の動き。その淫靡な動きがスカートの生地を通して伝わるたびに、男子生徒たちがごくっと喉を鳴らす。壇上に向けて階段を登る度に、佳純は無自覚に男子生徒たちを挑発していた。それは男性教師も同様だった。

 佳純が壇上にあがり、緊張の面持ちでマイクに向かって歩いていく。体育館の空気が、わずかに変わっていた。ざわめきがすっかり静まり、代わりに好奇と期待の気配が広がった。
 佳純は深く息を吸い、マイクに向かって小さく頭を下げる。
「はじめまして、江藤佳純と申します。本日から二年一組の担任を務めさせていただきます。数学を担当いたします」
 声は少し震えていた。けれどその震えすら、どこか愛らしい。
 大きなアーモンド形の瞳が、緊張でわずかに潤んでいる。長いまつ毛が影を落とし、頬には薄い桜色が浮かんでいた。
「まだまだ未熟な点も多いかと思いますが……生徒の皆さんと一緒に、楽しく、でもきちんと学べるクラスにしていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします」
 最後に、もう一度深くお辞儀をする。

 その瞬間、ブラウスの胸元がわずかに開き、白い肌と、ブラのレースの縁が一瞬だけ覗いた。
 目ざとく見つけた男子生徒の間で小さく「うわ……」「やば……」という呟きが漏れる。
 女子生徒たちは「可愛い……」「癒し系すぎる」と囁き合い、頬を緩ませていた。

 佳純は気づいていなかった。
 自分が今、どれだけの視線を一身に浴びているのか、どれだけの欲望と、好奇と、悪戯心を無自覚に掻き立てているのか……壇上から降りる際、彼女は少しつまずきそうになり、慌ててスカートの裾を押さえた。しかしそれは一瞬遅れ、白い太ももが男子たちの目を刺激した。
「やだ」
 小さく呟く佳純。しかしその声は静まった体育館でよく聞こえた。

 その仕草がまた、幼さとか弱さを際立たせ、男子たちの胸をざわつかせた。

 誰もが思った。
 この先生は、きっと優しくて、まっすぐで、汚れを知らない、守ってあげたくなる。だけど――少し意地悪したくなる。

 そのとき佳純は知らなかった。
 生徒たちを無自覚に誘惑してしまったことが、想像したこともない羞恥地獄の入り口になっていたことを。

 ――――☆☆☆――――☆☆☆――――☆☆☆――――

 全校集会が終わると、佳純は二年一組の教室へと急いだ。
 廊下を歩くたび、ヒールの音がカツカツと響き、スカートの裾が太ももに軽く擦れる。
 まだ全校集会の視線が体に残っているようで、胸の鼓動が少し速い。

(みんな、ちゃんと受け入れてくれるかな……。先生らしく、ちゃんとしないと……)
 教室のドアを開けると、三十人ほどの生徒が一斉に視線を向けてきた。

 男子たちの目が自分の全身を舐めるように這う気がして、佳純の表情が一瞬固まる。
 一方、女子たちは好奇心と、少しの親近感を込めて微笑んでいる。

 ちゃんとしなくちゃ……特に若い女性の先生は最初に毅然として、舐められないようにすることが肝心って、学年主任で新人指導を担当する山崎先生にも言われていたし
「えっと……おはようございます。今日から二年一組の担任を務めます、江藤佳純です。よろしくお願いします」
 佳純は教卓の前に立ち、深く頭を下げた。その瞬間、ブラウスの胸元が少し開き、白い谷間がちらりと覗く。

 教室の空気が、ぴくりと変わった。
「先生、可愛い〜!」
 女子の一人が明るく声を上げると、クラス全体に笑みが溢れ、和やかな雰囲気になる。
「先生、アイドルグループのセンターに似てるって、よく言われませんか?」
「特に笑うとさ、〇〇のセンターの子にめっちゃ似てるよね」

「え、そんなこと……ないですよ。言われたこと、ないです」
 佳純は慌てて手を振った。本当は美貌を褒められるのはしょっちゅうだが、いつも反応に困ってしまう。下手に謙遜すると嫌われてしまうこともあるし……
「……でも、ありがとうございます。嬉しいです」

「えー絶対似てるって! 清楚で可愛い感じがそっくり!」
「というか、佳純ちゃんの方が大人の色気があっていいよね」
 女子たちが口々に頷き、クラスが和む。

「もう、からかわないで」
 佳純は頬を少し赤らめながら、黒板の方へ向き直した。

「それじゃあ、名前を書いておきますね」
 黒板の真ん中には事務連絡がびっしり書いてある。佳純は上の段に名前を書くために背伸びした。自然と背中を反らし、腰を突き出す形になる。タイトスカートの生地がピンと張り、豊かなヒップの丸みがくっきりと浮かび上がった。
 布地の下で、柔らかく弾力のある形が、教室の照明に照らされて強調される。
(……なんか、後ろがスースーする……みんな見てないよね?)
 不安になるが、慌てる姿を見せたらまたからかわれる。平然としなきゃ……

 佳純の願いも空しく、男子たちの視線は一斉にそこへ集中していた。
「……エロい尻……」
「マジでプリプリじゃん……」
「あのライン、触ったらどんな感触なんだろ……」
「感度よさそうw」
 男子たちの様子に、女子たちは少し嫉妬を感じ始めていた。可愛いのにほのかな大人の色気まで……これでは勝ち目がない。

 皆の注目を浴びているとは知らず、佳純は名前を書き始めた。黒板に「江藤佳純」と丁寧にチョークで書く。女性らしい、丸みを帯びた美しい文字だった。
 しかし男子達は文字など見ていなかった。背伸びをしながら文字を書くのは足元が不安定で、美しい手で文字を引くたびに、微かに腰が揺れて布地が擦れる音が、静かな教室に小さく響いた気がした。
 男子たちの視線が熱を帯び、誰かが小さく息を飲む音が聞こえた。

 名前を書き終わると佳純は皆の方に向き、言葉を続けた。
「えっと、まずは自己紹介を兼ねて、少しだけ私のことを話しますね。私は二十三歳で、大学を卒業してすぐここに来ました。数学が専門です。実は高校時代、テニス部だったんです。結構頑張ってましたよ」

 男子たちの間で小さくどよめきが起きた。
「……テニス部?」
「マジかよ」
「先生、テニスウェア着てたんだ……」
 頭の中ではさっき見た揺れる尻とテニスウェアが合成されている。

 佳純は男子たちの想像に気づかず続ける。
「コートで走り回って、汗だくになって……でも、楽しかったです。生徒の皆さんも、部活とかで頑張ってる子が多いと思うので、応援したいなって思ってます。私にできることがあったら遠慮なく言ってくださいね」

 前列の女子・鈴木が手を挙げた。
「先生! 私からも質問いいですか?」
「どうぞ」
「先生は今、彼氏います?」
 おお〜!とクラスがざわつく。
「い、いません……まだ、仕事が忙しくて……」

「えー! 可愛いのに!」
 別の女子、山田が続ける。
「じゃあ今まで付き合ったのは何人ですか? キスしたことあります?」
「えっと、それは……」
 実は高校時代、付き合っていたテニス部の部長と一度だけ、キスしたことがあった。その後は自然消滅したけど……佳純の頬が火照った。
「あ、あるんだ」
「分かりやすーい!」「
頬っぺた赤くしちゃって、あざと可愛いw」
 可愛すぎる反応に教室は大盛り上がりだ。

「へえ、あるんですね」
 山田が目を輝かせてさらに追及する。
「じゃあ、その先は……? もっと大人なこととか……したことあります?」
 教室が静まり返り、佳純の反応に注目が集まる。

「そ、そんなこと、ありません!」
 佳純は両手で頬を覆い、耳まで真っ赤になってうつむいた。声が小さく震えていて、まるで今にも泣き出しそうだった

 男子たちの間で小さくどよめきが広がる。
「マジか……マジでないの?」
「恥ずかしがり方が完全に……w」
「反応が可愛すぎて逆に怪しいわ……」
「どっちにしろ、教え甲斐ありそうじゃんw」

 クラスで一番可愛い女子、倉田みどりが立ち上がり、男子たちを軽く睨みつける。
「もういい加減にしなよ! 先生困ってるじゃん……」
 そしてみどりは、佳純の方を向き、いたずらっぽく笑った。
「先生、顔真っ赤で、ほんと、めっちゃ可愛い。これからいっぱい、からかっちゃうかもですけど」
 シリアスな空気になりそうなところをみどりの機転が防ぎ、ほっとしたクラス全体が笑いに包まれた。

 後ろの席の佐藤が、にやりと笑って手を挙げた。
「先生! 質問いいですか?」
「もちろん、どうぞ」
「テニス部ってことは、先生、超ミニのスカートで走ってたんですよね? 絶対パンチラ祭りだったでしょw」
 別の男子がすかさず続ける。
「純白パンティ見せてテニスするとこ見たいなー!」
「白いスポーツショーツ、汗で透けてたりしてw」
 教室にクスクスと笑いが広がる。男子の目は佳純の下半身にくぎ付けだった。

 佳純の頬が見る見る赤くなった。スカートの裾を無意識に握りしめて、太ももを隠そうとする。
「え、えっと……確かに、動きやすいスカートでしたけど……そんなに短くは……」
 言葉が詰まる。昔のテニスウェアの短さを思い出して、恥ずかしさがこみ上げてくる。
「それに、下にはちゃんとアンダースコートをはいています!」

 その必死の反論に、男子たちがさらに笑う。
「それじゃあ、恥ずかしい失敗とかなかったですか? なんかエロいやつ」
「転んでアンスコに包まれたお尻丸出しとか……」
「サーブの時にウェアがめくれて、でかいおっぱいはみ出たりとか」
「罰ゲームで1ゲーム取られたら1枚脱ぐとか」
「佳純ちゃんの全裸テニス見たいなー」
 教室がどっと沸いた。男子たちの目が一斉に輝き、誰かが小さく『マジで……』と呟く声が漏れた。

 佳純は耳まで真っ赤になり、教卓をぎゅっと握りしめた。必死に言葉を絞り出そうとするが、声は震えて上手く出てこない。学生時代まで、周囲の男子にはいつもちやほやされ、露骨なからかいの言葉をかけられたことなどなかった。
(でも、何か言わなきゃ、教師なんだから……)
「そ、そんな恥ずかしいこと、ありませんでした! みんな、からかうのやめてください……」
 可愛い困り顔と恥ずかしがり方に、男子たちはさらに目を輝かせる。

「もういい加減にしなよー」
「ほんと、男子バカ」
「デリカシーがないよね」
「だから彼女できないのよ」
 女子の呆れ声が飛ぶが、どこか楽しげだ。

 わいわい賑やかな雰囲気の中、授業終了のチャイムが鳴り、佳純は「じゃあ、また後でね」と微笑んで教室を出ていく。

 ドアが閉まった瞬間、後ろの席から小さな声が上がった。
「先生、江藤って言うより、エロだよなw」
「確かにエロすぎだもんなw」
「あの板書の尻振りショー見たら、もうエロにしか見えないw」
「エロかすみん、って呼ぼうぜ」
「エロかすみんのお尻ですって言いながら、エロ尻振ってほしいw」

 女子たちも「ちょっと〜! ひどいよ!」と言いながら、「でも、確かに……」「エロかった、ね」「女子でも変な気分になっちゃった」とどこか楽しげに頷く。

(とりあえず、優しく迎えてもらったよね。みんな、元気で明るくていい子たちだもんね)
 佳純は廊下を歩きながら、頬の熱さを抑えきれずに小さく息を吐いた。
(「若い女の先生は必ずエッチな言葉でからかわれるから覚悟して」って、美谷先生には言われていたし、あれくらいは普通なんだよね)
 でも、背中に残る熱い視線の感触が、なぜか少しだけこそばゆかった。

 佳純はまだ知らない。
 彼女の可憐さと無垢な微笑み、そして隠しきれない美しい肢体が、クラスの生徒たちの悪戯心に火を付けてしまったことを。
 その結果、数か月後、生徒たちの前で素っ裸にされ、黒板の前で震えながら授業をさせられることを……

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