PART 50b

 数秒間、沈黙がスタジオを支配した。加工映像と言い訳のしようがない中、女子アナウンサーを全裸にして放送させ、秘部を開かせて肉壁までも無修正で全国の視聴者に向けて生放送してしまい、さらには絶頂に達する過程を全て見せてしまった……ディレクターの有川の顔が歪んでいた。

 一方、ネットではこれ以上ないほどの盛り上がりとなっていた。
<麻衣子ちゃん、今日2度目の絶頂!>
<アソコ丸出しで気持ちよさそうに寝てるね(笑)>
<アソコがピクピク震えてるの、エロ過ぎ!>
<一生物のオカズ、ありがとー>
<無修正のパイパン丸出しでイっちゃった(笑)>
<公共放送なのにAV業界の営業妨害だな>
<お詫びにAVデビューよろしく!>
<青文字さん、お尻の穴の実況もさせてね!>
<アナルの皺の数、全国の皆で数えようぜ!>

 麻衣子が失神してネットで会話が交わされている間も、「声」の指示は続いていた。
 それは、栗山に対するレポート続行の指示だった。栗山は、全裸で横たわっている麻衣子の乳房の形、色をアップで映して実況させられ、さらに乳輪の大きさをメジャーで図り、乳首の高さや直径も読み上げさせられた。いちいち感想まで聞かれて、とても可愛い乳首ですね、などと口にしては、表情を強ばらせていた。

 後は麻衣子ちゃんが起きたら続きをやってもらおう、と「声」が指示をして、それまでは通常の放送を行うこととされた。時間はすでに10分も押していて、7時30分になろうとしていたが、予定の放送内容を全て終了するまで延長することも命じられた。

 次のコーナーは通常は川本奈央の生活情報コーナーだったが、バランスボールは麻衣子がやらないと意味がないということで後回しとなった。

 その次は西原瑶子のスポーツコーナーだった。こちはも本来は麻衣子が掛け合い的なコメントをする立場だったが、栗山が代役になった。いつもは爽やかな笑顔で快活に話す瑤子だったが、今日は顔が真っ赤になり、言葉もどこかたどたどしかった。
 それもそのはずだった。放送内容はいつもどおりで、局のセットもいつものものではあったが、目の前に全裸の女性が配置されていたのだ。それは、同僚の女子アナウンサーで、カメラに尻を向ける四つん這い姿のまま、失神して目覚めていなかった。2つのモニター画面には、瑤子と栗原の姿と共に、麻衣子の裸の下半身がこれ見よがしに突き出された姿がはっきり映し出されていた。さらに、麻衣子の脚は大きく広げられ、秘部と尻の穴までも見えていた。秘部はぐっしょりと濡れていて、尻の穴はひくひくと震えていた……

《なんか表情が硬いなあ、瑤子ちゃん。それにしても、瑤子ちゃんもいいおっぱいしてそうだよね?》
 ネットモニター画面に「声」の青文字が表示され、スタジオに緊張が走った。まさか、次は瑤子に恥辱の命令が?……
《瑤子ちゃんにもストリップしてほしい人は、希望のポーズを教えて》
<M字開脚!><全裸でバレーボール><Y字バランス><全裸で始球式!>……

「えー、次は陸上の話題です……」
 瑤子の顔がいっそう紅潮し、膝が小さく震えていた。
(もし、自分に命令されたら……麻衣子ちゃんの痴態がもし自分だったら……死んでも嫌っ)
「先日行われた世界選手権に、初出場で入賞した、小野寺恭介さんにインタビューしてまいりました……」

《ははは、かなり嫌そうだね》
 再び青文字が表示された。ネット視聴者たちの期待のコメントが続いた。
《まあ、今日のところは麻衣子ちゃんだけにしようかな。その代わり、麻衣子ちゃんが起きたら、こう言うんだよ……"
 続いて表示された文字を見て、ネット視聴者が盛り上がり、瑤子の顔が小さく歪んだ。
(ごめんね、麻衣子ちゃん……)

 結局、瑤子のスポーツコーナーの間ずっと、麻衣子は失神したままで、全裸四つん這い姿をTVカメラに向けて晒し続けていた。両脚は大きく開いて股間までがテレビ画面に映っていて、前は頬が床についていた。また、その顔もカメラの方に向けられていた。絶妙なバランスだったが、それは「声」の力によって維持されたものだった。

 たっぷり2分ほど失神していた麻衣子が、ついにうっすらと目を開いた。目の前には、右側に床、正面にはスタッフ達の姿とテレビカメラ……あちこちから照らすライトが眩しい……瑤子の陸上選手へのインタビューを終えた後のコメントが聞こえる。栗山さんの声も……あれ、私が相手をしなきゃいけないはず?
「え?」
 小さく呟くと共に、今度は麻衣子の美しい瞳が大きく見開かれた。
(今は生放送中! 私、絶頂に達して失神して、こんな恥ずかしい姿を放送されていたの、ずっと?)
 麻衣子の困惑がピンクの文字としてネットモニターに表示された。じっくり見せてもらったよー、などとネット視聴者たちのからかいコメントが続いた。
(いやあっ! どうして、身体が動かない……)

《やっと起きたね》
 楽しそうな「声」が麻衣子の脳内に響いた。
《それじゃあ、瑤子ちゃんの指示に従ってもらうよ》

「あ、本澤アナが起きましたね」
 「声」の言葉とほぼ同時に、瑤子の声が聞こえてきた。
「それではこれより、本澤アナのお尻の穴の皺の数を、視聴者の皆様と一緒に数えたいと思います……」
 瑤子の声からはいつもの快活さがなくなり、今にも消え入りそうになっていた。
「本澤さん、その格好のままで両手を後ろに回して、お尻を左右に思い切り開いてくださいね」

「え……?」
 あまりに無体な命令に、麻衣子の視界が再びぼんやりしてきた。裸で大股開きの四つん這いにされているのに、頬を床について腰を突き上げたまま、両手で尻を左右に開く……想像しただけでも卑猥過ぎるポーズに、清楚な女子アナの表情が歪んだ。
(そう言えば、もうすぐ7時30分……番組は終わりのはず)
 救いを求めるようにモニター画面を見たが、麻衣子は新たなテロップを目にすることになった。
 テロップは先ほどとは変わっていて、
「ただいま、何者かの脅迫により、おはようニュースを延長して放送しています。本澤アナは意思に反した行為を強要されています。お見苦しいところがありますが、ご了承ください。」
 と表示されていた。

 死にたいほどの羞恥地獄がまだ続くことを悟り、がっくりとした麻衣子だったが、有川の声が容赦なく響いた。
『本澤くん、辛いだろうが命令に従うんだ。もう、アソコまでぱっくり開いて見せてるんだから、お尻の穴くらい大丈夫だろ?』
 インカムの声はスタッフ全員にも聞こえていた。瑤子の唇が半開きになり、目が大きく開かれた。女性としてこれ以上ない羞恥と屈辱の姿を生放送で晒しているのに、恥ずかしいもう一つの穴まで……

 スタッフ達の同情の視線を感じながらも、テレビカメラの横に表示されたフリップを麻衣子は読むしかなかった。
「……視聴者の皆さま、たいへん申し訳ございませんが、ただ今、何者かの脅迫により、やむを得ずこのような放送を行っております。本日は『おはようニュース』を特別に延長し、私、本澤麻衣子のお尻の穴の皺の数を数え終わるまで放送させていただきます」
 相変わらずの全裸四つん這い姿で尻を視聴者に向けて突き出し、首を捻ってテレビカメラを見ながらの恥辱の挨拶に、ネット視聴者が歓声とからかいで応えていた。

「それでは、麻衣子のお尻の穴の皺の数、視聴者の皆さまとご一緒に、数えたいと思います……」
 麻衣子は潤んだ瞳でそう言うと、両手をそれぞれの尻タブに当てた。
(ああ、本当にこれが現実なの? でも、仕方ないのよ……)
 N放送の清楚で知的なイメージそのものだった美人女子アナウンサーは、哀しげな笑みを浮かべ、ぐいっと手に力を入れた。大股開き四つん這いの尻がさらに思い切り開かれ、尻の溝が全てテレビカメラの前に晒された。下側には開いた秘裂から鮮やかなピンクの肉襞が覗き、上側には、可愛い尻穴がはっきりと見えてしまっていた。

<あはは、女子アナの穴、二つとも丸見え!>
<バックで自分からケツ開くって、どんな気持ち?>
<お尻の穴まで可愛いね、麻衣子ちゃん>
<ピンクのアソコも綺麗だよ>
<でも、ぐしょ濡れだね>
<全国の視聴者の皆さまに見られて、興奮してるの(笑)>
<それじゃあ、数えようよ、お尻の穴のシワの数!>
<世界初だね、自分の尻穴をレポートする女子アナって!>
<麻衣子ちゃん、涙ぐんだ顔も可愛いよ>
<アソコの襞がひくひくしててエロ過ぎ(笑)>
<一応教えてあげるけど、これは紛れもない現実だからね>
<絶対拡散されるから、世界中の人に永遠に見てもらえるよ!>
<もう、AV女優になるしかないね!>
<これがデビュー作でいいじゃん>
<いきなり無修正かよ(笑)>
<処女喪失は2作目かな>
 ネットモニターには容赦なく、視聴者達からのからかいコメントが表示され続けていた。それは同時に、麻衣子の脳内でも反響していた。

「はい、それでは、数えてみたいと思います」
 とにかく、やるしかないのだ……卑猥な言葉が脳内に溢れ、麻衣子は頭の中が真っ白になりそうだった。
(早く終わって、お願い……)
 麻衣子は目を凝らして、必死にモニター画面を見つめた。大きく映っている下半身の画像……卑猥そのものの肉襞が愛液にまみれてぬめり光っていて、お尻の穴がひくひく震えている……非情な現実に目を背けたかったが、今の麻衣子はじっくり観察して、視聴者に報告しなければならない立場だった。
「えー、いーち、……」
 そうは言ったものの、お尻の穴の皺の一本一本がはっきり見えているわけではなかった。
(適当に数えたふりをして、みんなの雰囲気で、終わりにすればいい……)
 麻衣子のせめてもの計算も、すかさずピンクの文字としてネットモニター画面に表示されてしまうのだった。

《ちょっと待って》
 「声」が脳内に聞こえた。
《皺が数え辛いみたいだから、カメラさん、もっとアップにしてあげて。アナルとアソコが画面いっぱいに映るように。それから、麻衣子ちゃんの顔は、左下にワイプ画面で表示してね》

 一カメ、二カメが指示に従うと、放送画面には恐ろしく卑猥な映像が映し出されることになった。麻衣子自らの両手で開かれた股間が画面いっぱいに映り、秘部のサーモンピンクの肉襞の一つ一つがはっきり見え、お尻の穴の皺の一本一本が鮮明に見えてしまっていた。ワイプ画面には、目を潤ませながら引きつった笑みを浮かべる麻衣子の美貌が映し出されていた。
「これでいかがでしょうか。視聴者の皆様にもよく見えますでしょうか、麻衣子のお尻の穴の皺……」
 命令された屈辱のセリフを口にした麻衣子は、再び頭の中が真っ白になるのを感じた。


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