PART 51b

 土曜日の朝、7時40分。N放送のテレビ画面には信じられない光景が映し出されていた。

 女性の下半身の画像のどアップ――尻の穴の皺も、秘部の肉襞も、モザイクなしで鮮明に映っていて、尻を自ら開く美しい指まで……さらに、羞恥の2穴を自ら晒している美女の切迫した表情がワイプ画面に――画面の左上に「N放送 おはようニュース」とロゴが表示されているのが、卑猥さを際立たせていた。
 画面の上部には小さな字で以下のテロップが表示されていた。
「ただいま、何者かの脅迫により、本澤アナは意思に反した行為を強要されています。通常どおりの放送が犯人の要求であるため、番組を継続させていただきます。お見苦しいところがありますが、ご了承ください。」
 さらに、画面の右上には、「本澤麻衣子のお尻の穴の皺は何本?」と表示されていた。もちろん、「声」からスタッフへの指示によるものだった。

 生放送中での羞恥は、これで終わり……それが、今の麻衣子の唯一の希望だった。
 しかし、数えたフリをすればいいと姑息な計算をした麻衣子に対し、「声」はさらにペナルティを追加していた。それは、一本数える時に、尻の穴のどの部分の皺かを特定するように麻衣子に述べさせ、その皺をお天気コーナーの彩香がマジックで赤く塗る、というものだった。彩香は麻衣子の尻が至近距離で見えるように膝をつき、震える手で赤のマジックを持っていた。

「それでは一本目ですが……」
 高々と腰を宙に掲げ、自ら尻肉を開くポーズをとっている麻衣子は、テレビモニターを見つめながら美しい唇を開いた。
「一番上の皺を、お願いします。お尻の穴に一番近いところからまっすぐ上に伸びているものです……お願いします」
 いつもニュースを読むときの鈴のように澄んだ声が、今はわずかに揺らいでいた。

「はい、真ん中の、上に伸びるものですね」
 彩香はあえて淡々と答えるとマジックを持った右手を麻衣子の突き出された尻に近づけていった。手が震えそうになるのを必死にこらえていた。お尻の皺を塗るために、マジックは極細のものだった。ちらりと視線を反らし、麻衣子の側に立っている瑤子を見た。瑤子は苦渋の表情で小さく頷いて見せた。
「それでは、マジックで赤く塗っていきます……」
 麻衣子の何もかも剥き出しにした下半身が目の前に迫ってきて、彩香の手がまた震えていた。全国生放送で、お尻の穴を自ら広げさせられ、皺にマジックを塗られる……いったいどれほどの羞恥と屈辱だろう。間近で見ると、張りのあるお尻がぷるぷると震えているのがよく分かった……ごめんね……瑤子は慎重に狙いをつけて、マジックのペン先を麻衣子の肛門にそっと当てた。

 その瞬間、麻衣子の身体に電流のような快感が駆け抜けた。宙に突き出されていた美しい尻が弾けるように上下に震えた。
「あっ、あんっ!」
 麻衣子は首をのけ反らせて呻き、マジックから逃れようとした。しかし、膝から下の足は接着剤でもついているかのように動かなかった。尻肉を開いている両手も、吸い付くように貼り付いたまま、動かせなかった。

「ごめんなさい!」
 性感帯を刺激してしまったと思った彩香は慌てて謝った。でも、どうしたら……ちらりと視線を向けると、麻衣子の肉襞がさっきよりも明らかにぐっしょりと濡れていて、太ももを透明な液体が何筋も垂れ落ちているのが見えた。

《駄目だなあ、麻衣子ちゃん。プロのアナウンサーなんだから、アナルが気持ちよくても我慢しなくっちゃ"
 嘲るような「声」の青文字が表示されると、ネット視聴者たちもわっと盛り上がった。
《さっきはアソコをぱっくり開いて、クリちゃんまで見せてくれたじゃん。今さら恥ずかしがることないよ(笑)》
 そして、スムーズにマジックを濡らせなかったペナルティとして、「声」から新たな指令た追加された。

「えー、失礼しました。お詫びとしまして、麻衣子のお尻の穴が開いたり閉じたりするところ、ご覧ください……」
 麻衣子の顔はもはやこれ以上ないほど真っ赤だった。その手は相変わらず、尻を開いているので、麻衣子は手を使わずに、尻穴が開くところをテレビカメラに向けて晒さなければならなかった。
「ん、ん、うぅ……」
 モニター画面には、自分の下半身がどアップで映っていて、お尻の穴がヒクヒク震えていた。あまりの羞恥と緊張で、お尻の穴にうまく力を入れることができなかった。
「す、すみません、ちょっと、うまくいかないです……」
 プロのアナウンサーなんだから、どんな時にも冷静でいないと……麻衣子のプロ意識が、ぎりぎりのところで理性を保たせていた。
(でも、こんなの、あんまりよ。こんなポーズで、お尻の穴を開いたり閉じたり、できるわけない! お願い、もう許して)
 涙に潤んだ瞳がワイプ画面に映り、視聴者をどきっとさせた。しかしその画面には、その顔よりも大きく、尻穴と秘裂が映し出されていた。

《もう音を上げたの? できるわけないなんて、すぐに諦めたらだめだよ》
 麻衣子の内心は筒抜けだった。「声」が青い文字ですかさず反応した。
《仕方ないなあ……ちょっと手伝ってあげよっか》
 その言葉と同時に、ネットモニター画面に、再び指の形のカーソルが表示された。その「指」はスーッと移動し、麻衣子の尻の穴の上で止まった。
《それじゃあ、行くよ!》
 「指」が尻の穴に向けて突き立てられた。

「ちょ、ちょっと待って!」
 「指」の動きは麻衣子にも見えていた。
(だめ、お願い、入れないで!)
 しかし次の瞬間、麻衣子は尻の穴に「指」が振れるのを感じた。それは入口をちょんちょんと突くと、ぐいぐいと中に侵入しようとした。
「あ、あぅぅぅ、ん、んんん……」
 尻穴を見えない指でぐりぐり抉られ、麻衣子はたまらずにうめき声にも似た悲鳴を上げた。腰を激しく左右に振って逃れようとするが、「指」は穴をしっかりと捉え、少しずつ中へと侵入していた。

<おおおっ>
<エロ過ぎ、麻衣子ちゃんのケツ振りダンス!>
<どアップで見せつけるように振り立てるって、どういう神経?(笑)>
<ほんとにケツの穴が広がってるぞ!>
<本当に指が入ってるみたいだな!>
<麻衣子ちゃん、アヘ顔じゃねえか?>
<すっげえ、アソコはもう洪水状態(笑)>
<生放送でこんなの流していいんですか、N放送さん(笑)>
 何が起きているのかは分からないが、とにかく放送映像は卑猥過ぎた。ネット視聴者たちは麻衣子に一抹の同情を感じながらも、言葉嬲りで楽しむことをやめることはなかった。

 「声」はそれから意地悪にも、「指」を尻穴に挿入しては抜く、という作業を3回繰り返した。結果、麻衣子はお尻の穴が開いては閉じる様子を3回披露することになったが、それよりも、尻を激しく上下左右に振って、切迫した表情で悶えて喘ぐ姿の方が視聴者の印象に残ることになった。

 息も絶え絶えになっていた麻衣子の次の試練は、尻の穴の皺をマジックでなぞられることだった。視聴者に全てを晒しながらの屈辱に足がガクガク震えたが、また失敗したら今度はどんなペナルティーがあるかと思うと、唇を必死に噛み締めておぞましさに耐える麻衣子だった。その苦悶とも快楽ともつかない表情を、視聴者達は息を呑んで見つめていた。

 二本目からは、「声」の意地悪がさらに加速して麻衣子に羞恥の極みを演じさせ、視聴者を喜ばせることになった。
 ネットモニター画面に、複数の「指」と「舌」が出現したのだ。それらは、全裸四つん這い姿の麻衣子の、耳や首筋、脇腹、脇の下、おへそ、太もも、乳房、尻、秘部と、あらゆる性感帯を撫でさすり、つつき、舐め回した。その度に麻衣子が喘ぎ声をあげて身悶えするため、彩香はなかなか皺にマジックを塗ることができなかった。
 さらには、彩香がマジックで尻の皺をなぞる度に絶頂に達するようになってしまい、開ききった秘裂からは、愛液が太ももを伝わず、直接床にボタボタ落ちるようになっていた。

《それでもプロのアナウンサーなの?》
 「声」が嘲るように言いながら麻衣子のクリトリスを撫で上げ、また悲鳴をあげさせた。
《皺を数え終わるまでに10回イッたら、ペナルティを追加するよ。そうだなあ、番組終了後も、いつでもどこでも、視聴者様に命令されたら素っ裸になるってのはどう?》
 <さんせーい><それなら喜んで受信料払うよー>、と歓迎のコメントがネットモニターに表示された。

 新たなペナルティが追加されたことで、麻衣子は以前にも増して必死に快感に耐えようとしたが、それはかえって、淫らな声をあげ、身体をくねらせて悶える姿を視聴者に披露することになってしまった。

 結局、彩香が16本目の皺にマジックで塗り終えるまで、麻衣子は9回の絶頂姿を晒すことになってしまった。途中から「声」はさらに意地悪になり、麻衣子の性感帯のどこを責めるかをいちいち実況して、どこをいじるとどう感じるかまで、視聴者に知らせてしまった。
 途中からは、さんざん責め立てて麻衣子が絶頂寸前になったところで責めを停止し、彩香にマジックで塗らせるようにもなった。すなわち、最後のとどめを彩香が毎度行い、マジックで麻衣子を絶頂させることになってしまった。彩香もそれに気づいたが、全身の性感帯を責め立てられて悶えている麻衣子の尻にマジックで書くことは不可能だったため、「声」の思惑通りにするしかなかった。
 麻衣子の快感は回を重ねるごとに深くなり、尻の振り方も、喘ぎ声も、秘裂からの愛液も激しくなり、恐ろしく淫猥な魅力を放つようになっていた。高熱でもあるかのように顔全体を火照らせ、汗が浮いていた。額には乱れた髪が貼りつき、唇は半開きのまま、可愛い喘ぎ声をあげ続けていた。

「……それでは、最後の、一本です……」
 麻衣子は半分掠れた声を絞り出した。全国生放送のニュース番組で全裸を晒しただけでも死ぬほどの恥辱なのに、女性が最も秘すべき部分を全て詳細に映し出され、さらには尻の穴の皺を図形自ら数えさせられ、同時にあらゆる性感帯を暴露されて九回も絶頂する姿を疲労してしまった……
(やっとだわ、あと一回で、終わるんだから……)
 ネットモニターに表示されたピンクの文字がギャラリーの同情を誘い、同時に嗜虐心を煽った。
 しかし、最後の一回がすんなり終わることはなかった。

 時刻は午前7時50分。「おはようニュース」は本来の終了時刻を20分過ぎていたが、特別に延長して放送されていた。
 その放送映像には、どう見てもAVとしか思えない光景が展開されていた。若い女性が全裸で四つん這いになり、これ見よがしに股を大きく開いて、切迫した喘ぎ声をあげ、全身をくねらせて悶えているのだ。
 最後の一本についても、必死に画面を見ながらその特徴をレポートした麻衣子だったが、その後は先ほどまでと同様、たくさんの「指」と「舌」により性感帯を弄られ、あっという間に頂点へと追い上げられてしまった。清楚そのものの雰囲気だった美女が妖艶な姿で喘ぎ、悶える姿は、視聴者たちにとって何度見ても飽きることがないものだった。

「それでは、最後の一本、塗っていきますね」
 絶頂直前で寸止めされている麻衣子の姿を見て、彩香が上ずった声で言った。早く、終わりにしてあげないと……マジックを持った右手をゆっくりと尻のすぼみに近づけていった。

 次の瞬間、麻衣子の腰がビクッと動いた。「指」がいきなり出現し、秘裂の入り口に押し込まれたのだ。
「あ、あひぃぃ!」
 マジックを塗るときは何もされないと思っていた麻衣子は、いきなりの刺激と全身に走る快美感、秘部に挿入される驚愕に、悲鳴をあげて腰を思い切り引いた。
「っ! うっ、うぐっ、ああぁ!」
 引いた腰の後ろには、彩香が構えたマジックがあった。マジックのペン先が尻穴に食い込むと、そのままするっと奥へと入ってしまった。

「きゃあ、ごめんなさいっ!」
 予想外の事態に彩香は悲鳴をあげ、その手を離してしまった。マジックは麻衣子の尻穴に数センチ食い込んでいた。

「いや、お願い、取って! あ、あぅぅっ!」
 四つん這いで腰を宙に突き出す姿勢で、尻の穴にマジックを突き立てられ、麻衣子は必死に腰を振り立てた。しかしそれは、淫靡なショーをさらに魅力的にする結果をもたらしてしまった。腰を振られて、マジックは少し浮き上がっては、くるりと回って落ちるという動きを繰り返し、さらに麻衣子に悩乱を極めさせた。
「あ、あんっ! いや、こんなの! 許してっ……い、いひぃぃ……」
 想像したこともない羞恥と屈辱、そして全身を駆け巡る快感の連続に、麻衣子の理性は崩壊寸前だった。涙で潤んでいた目は、いつしか快感に酔っているような目にもなっていた。

<すっげえ、今度は自分でケツ振ってオナニーかよ>
<清純派女子アナナンバーワンの名が泣くな(笑)>
<あの顔、ほんとに気持ち良さそう>
<お尻の穴を責められるのが好きなんだ、麻衣子ちゃんは>
<アソコがもうぐしょぐしょだな>
<あーあ、だらだら垂らしちゃって、はしたないなあ(笑)>
<ほら、早くイッちゃいなよ>
<8時からの朝のドラマも延期したらクレームの嵐だぞ>
<俺はこっちを毎朝見たいけど(笑)>
<生放送で10回イッちゃうってすごいね!>
<ギネスに申請したら? 永久に破られないんじゃない(笑)>
 ……ネットモニターには、際限なくからかいの文字が表示され続けていた。


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