PART 36(bbbab)

 「・・・ふ、ふ、ふざけないでっ・・・で、できるわけ、ないでしょ、そんなこと・・・」
梨沙は半分パニック状態に陥り、どもりながら言った。今は昼休みで、大勢のクラスメイト達が周りにいるのだ。それなのに、こんな写真を出すなんてひどい・・・
「お願い、早く閉じてっ!」

 「え、いい写真だと思うんだけどなあ・・・分かったよ。」
岩本はようやく梨沙の全裸画像を閉じた。
「でもさ、千人の前で潮吹きオナニーできるんだから、文化祭で脱ぐくらい簡単だろ? あ、生徒会長として、『ストリップショー』が文化祭に不適切って言うなら、名目は『撮影会』でもいいからさ。」

 「も、もう、いい加減にして・・・お願い・・・」
梨沙の口調はいつになく弱々しくなっていた。岩本には全てを知られてしまっているのだ・・・

 「まあ、確かに、文化祭でストリップは無理だよね。他の学校の生徒とかも来るんだからねえ。」
岩本は突然、あっさりと折れた。
「実はアイリスさんにも提案したんだけど、却下されちゃったんだよね。それじゃあ梨沙ちゃんが可哀想だってね。」

 「・・・え、そうなの・・・」
梨沙は思わずほっとした声を出した。しかしそれなら、なぜ岩本はわざわざそんな話をしにきたのか・・・

 「うん。ただ、一つだけ、指示されたことがあるんだけど・・・」
岩本は声を潜めると、再び携帯端末を操作して、今度はメールの画面を梨沙に見せた。
「・・・こういうことなんだけど、俺達が手伝うようにってね・・・」

 そのメールを読んだ梨沙の顔がみるみる引きつっていった。

---------------------☆☆☆--------------------------☆☆☆-----------------------------☆☆☆--------------------

 文化祭当日。名門校であるK大附属高校・中学校には、大勢の人達で賑わっていた。同校の生徒、他校の生徒、近隣住民、K附中の受験を検討している親子などが朝11時の開門と同時に入って来ていた。

 土曜日の晴天の下、お祭りの雰囲気に皆が楽しそうにしていたが、一人だけ、苦悶の表情を浮かべている生徒がいた。

 それは、附属高校の生徒会長だった。梨沙は今、校門前に作られた大きな門の上の方に吊されていた。

 その門は、各辺1メートルの立方体の木箱を組み合わせる形で作られていた。左右の柱として箱が3つずつ重ねられ、その上に5つの箱が横に並べて置かれていた。別の表現をすると、左右に4つの箱の支柱が並び、その一番上の左右の箱の間を3つの箱がつないでいる形になっていた。
 もちろん箱はただ重ねただけでなく、各面が強力に接着され、さらにそれぞれの四隅に支柱の棒が当てて固定されており、安全上の問題は無かった。

 その門は水色をベースとして綺麗に塗られていて、真ん中には「K附文化祭」と大きな字で書かれていた。文字の両側には、くす玉のような金色の球体で飾られていた。

 梨沙は、その門の上の横に繋げられた箱のうち、ちょうど真ん中の箱の中に吊り下げられていた。その箱だけは下の面を剥ぎ取られ、支柱を利用してロープがかけられ、梨沙の身体を拘束していた。
 その結果、梨沙は全裸M字開脚で両手を括られて上げた格好で宙吊りになっていた。両手は革手錠を掛けられて上に伸ばされ、両脚はそれぞれ、足首と太ももに革バンドを巻かれてその間は短い鎖で繋がれていたため、がに股状態で閉じることができなかった。

 ・・・それは、文化祭でストリップショーをしない代わりということで、アイリスから突きつけられた命令だった。

 また、それはゲーム形式になっていて、初日の開門から2時間、誰にも発見されなければ梨沙の勝ち、となっていた。梨沙が勝った場合には、もう梨沙への責めはやめるし、今までのデータを破棄し、これ以上拡散しないことが約束されていた。ただし、負けた場合には、今までの痴態の写真をばら巻き、さらに明日の文化祭で写真部のヌード撮影会に出演すること、とされていた。
 もちろん梨沙はそのようなゲームはできないと訴えたが、聞き入れられることはなかった。

 完全に遊ばれている・・・そう分かっていても、絶対に人に見られたくないデータを山ほど握られてしまった今では、梨沙に選択の余地はなかった。

 さらに当日早朝、文化祭の門に吊り下げられる直前、アイリスから追加のメールが届いた。
・梨沙を吊り下げる際に、秘裂にディルドを咥えさせること
・そのディルドに、指定の長い紐を括り付け、その先に滑車をかまし、さらにその先にくす玉を括り付け、ディルドが抜けたらくす玉が割れるようにしておくこと
・くす玉の中には、岩本に指示した写真などを入れておくこと。また全ての写真の裏に、梨沙が自筆でサインすること。
・・・その写真とは、もちろん、遊園地の痴態の一部始終であり、絶対に人に見せられない姿の写真が数百枚もくす玉の中に入れられたのだった。

---------------------☆☆☆--------------------------☆☆☆-----------------------------☆☆☆--------------------

 開門から10分が経過した頃。梨沙は早くもその勝負の困難さを感じていた。

 (こ、こんなの、ひどい・・・ああ、見ないで、お願い・・・)
下の方からはひっきりなしに人のざわめきが聞こえていたが、時々、大きな笑い声やどっと歓声が起きる度に、梨沙は心臓が止まりそうな気持ちになっていた。

 それもその筈だった。梨沙は今、全裸でM字開脚に拘束され、文化祭の門の真上、地上から約3メートルのところに吊されているのだ。すなわち、秘裂も剥き出しの股間のほんの1メートルちょっと真下には、大勢の来校者が間断無く行き交っている・・・もしそのうちの一人がふと真上を見たら、女子高生の大股開きの股間が丸見えなのだ・・・

 梨沙にとって幸いなことに、両隣の箱の下の面は黒く塗られていたため、梨沙がいる箱が目立つことはなかった。また、これから学校に入ろうとしている人間がわざわざ真上を見ることも考えづらかった。

 岩本たち写真部員が、せめてもの心遣いとして、梨沙がほとんど痛みを感じないように吊り下げてくれていたことも勝負の面では救われていた。梨沙が気をつけなければならないのは、とにかく気配を殺して下の人間の注意を引かないことと、秘裂に力を込めてディルドをしっかり咥え、抜けないようにすることだけだった。
 しかし、そのディルドに結びつけられた紐はぴんと張り、滑車を介して繋がったくす玉から引っ張られていた。その紐は、秘裂からディルドを抜くように強く引っ張っているため、それは容易なことではなかった。

 ああ、まだ11時15分・・・梨沙は、目の前に設置された携帯端末を眺めながら気が遠くなる思いだった。その端末には、時計だけでなく、門の真下の状況の中継映像が映し出されていた。次から次へと人が入ってくるのも、その中に知った顔がいくつもあるのも分かり、梨沙は全身を小さく震わせていた。あと、1時間と45分・・・

 部活をしていた時には、2時間などあっという間だったが、今は、1分1分が無限にも感じられた。じっとしてればいいんだよ、と岩本には気楽に言われたが、それは逆に言えば、一瞬の油断も許されない、ということだった。少しでも声を出したり、下手に動いて門をきしませたり、秘裂の力を抜いてディルドが外れてしまったら、その瞬間に、16才の女の子にとっての完全な破滅が訪れるのだ。

 全裸M字開脚で人々の上に吊されているというのは、何分経っても慣れられるものではなかった。少し下を見ると、まずは自分の二つの乳房の膨らみが見え、その下にはがに股の脚と股間、透明なディルド、さらに下には、大勢の人たちの頭が行き交う様子が見えるのだ・・・それは、遊園地とはまた違った羞恥地獄だった。

 とにかく、2時間耐えればいいのよ・・・もう、11時17分・・・八分の一が過ぎたんだから、大丈夫・・・下のことは気にしない、気にしないでじっとしていればいいのよ・・・梨沙は自分に必死にそう言い聞かせ、固く目をつぶった。しかし目を閉じても、ざわつく雑踏の音、呼び込みをする男子生徒の声、きゃっきゃと笑う女子高生の声、子供達がはしゃぐ声、が耳に入ってくるのを止めることはできなかった。
 もし今、見つかったらどうしよう・・・みんなに下から見上げられて、恥ずかしい穴を二つとも見られて、ディルドが入っているのを笑われて、携帯でぱしゃぱしゃと写真を撮られて・・・破滅の光景が鮮明に脳裏に浮かび、梨沙はいつしか唇を噛みしめ、必死に首を振っていた。

 そのまま数分が経過し、11時20分になった頃、小さな異変が生じた。ディルドを秘裂に咥えたまま身体を小さく揺らし続けた結果、膣壁がディルドに抉られ、じわじわと快感が湧き上がるようになっていたのだ。

 (あ、あ、駄目っ!)
身体の奥がぞくぞくするような快感を感じてしまい、梨沙は思わず目を見開いた。や、やだ、どうしてこんな時に、気持ち良く感じてしまうなんて・・・嘘っ、嘘でしょ・・・梨沙は再び固く目を閉じ、錯覚を追い払うように首を振った。

 しかしその結果、梨沙の感覚が鋭敏になり、その快感が錯覚などではなく、紛れもない現実であることを思い知ることになった。まさか、こんなに身体がじんじん熱くなるなんて・・・梨沙は身体の震えを止めようと歯を食いしばったが、身体がカタカタと揺れるのはさっきよりも激しくなっていた。恥ずかしさと気持ちよさ、二つの感覚が絡まりあって、どんどん増殖しているような気がした。

 「ねえ、生徒会長、どこ?」
その時、不意に知っている声が真下で聞こえ、梨沙をぎょっとさせた。それは、2組で文化祭準備委員の男子の声だった。
「ちょっと午後の段取りのことで相談したいんだけど、見あたらないんだよね。」

 「生徒会役員室とか、2年1組の喫茶店とかにいなかった?」
今度は1組の女子の声が聞こえてきた。
「それじゃあ、一通り巡回でもしてるんじゃない? みんなちゃんと始められてるかの確認とか?」

 (和田くん、美里さん・・・いや、気付かないで・・・)
目の前の携帯端末に二人の顔を見つけ、梨沙は顔を引きつらせた。今真下にいる二人が自分を探しているのだ。もし、探している相手が、文化祭の門の真上で全裸を晒していると知ったら、こんな卑猥な姿を見られたら、どんな顔をするだろう・・・脚がカタカタ震え、歯がカチカチ鳴ってしまい、生きた心地がしなかった。

 「俺たちもそう思ってさ、準備委員みんなで手分けして探してるんだけど、見つからないんんだよ・・・美里さ、梨沙ちゃんの携帯の番号、知らない?」

 「・・・え、まあ知ってるけど、梨沙ちゃんの許可なく携帯の番号なんて男子に教えられないよ・・・じゃあ、私ので掛けてあげるから・・・」

 (いや、いやあっ)
その会話を聞いて、梨沙は内心で悲鳴をあげた。梨沙の携帯端末は今、目の前に設置されているこの端末なのだ。果たしてこれは、マナーモードになっていたか、自信がなかった。もしマナーモードになっていなければ、ここでけたたましい呼び出しメロディが鳴ってしまうのだ。美里が携帯端末を取り出し、電話をかけようとするのを見ながら、梨沙は死刑宣告を待つような気がしていた。

 その数秒後、目の前の携帯端末の画面が変わり、電話の着信を知らせた。ブーン、ブーン、と震えていたが、音が鳴ることはなかった。梨沙はほっとしたが、その携帯端末の振動が箱に伝わっているのが分かると、気が気ではなかった。

 携帯端末は20秒ほど振動を続け、ようやく止まった。
「おかしいなあ、梨沙ちゃん、いつもはすぐ出てくれるのに。」
「うーん、どこにいるのかなあ・・・ひょっとして、おしっこの最中かな。」
「ちょっと和田くん、ばっかじゃない、最低っ!」

 ・・・とりあえずの危機が去ってほっとした梨沙だったが、だからといって事態が好転した訳ではなかった。それどころか、膣に咥えたディルドから、じんじんとした快感が、さっきまでよりも強く沸き上がってきているのを感じていた。どうして!?・・・まさか私、二人に見つかった時のことを考えて、興奮してしまったってこと?・・・嘘、嘘でしょ・・・膣の奥からじゅわっとした液体が湧きだしたのを感じ、梨沙は慄然とした。そ、そんな! だめ、出てきちゃ・・・

 梨沙の考えは半分だけ正解だった。知り合いに痴態を見られることを想像して感じてしまったことも確かにあったが、それよりも、ディルドの中から媚薬がじわじわと染み出して来ていることが快感の大きな理由だった。そのディルドには、微小の穴が無数に空いていて、周囲からの圧力により染み出る仕組みになっていた。そして、ディルドが抜けないように秘裂で締め付け続けた結果、今ではすっかり媚薬が染み出して、梨沙の膣壁を刺激しつつあった。


 ・・・それは、最初から梨沙に勝ち目の無い、あまりにも酷い勝負だった。アイリスの幹部達は、自組織を危機一髪のところまで追いつめた梨沙に対し,AV女優にすることすら甘すぎるとして、女性としてこれ以上ない羞恥地獄を徹底的に味わわせ、破滅させることに決定していたのだった・・・



前章へ 目次へ 次章へ

カウンター