PART 71(bbbbx)

 「・・・え?」
聞き間違いよね・・・梨沙は祈りながら聞いた。

 「・・・ああ、そうか、ちょっと説明が足りなかったな。」
梨沙の質問の意図を誤解したプロデューサーは、軽く腕組みをした。
「・・・えーと、まずここまでのシーンは、彼氏に騙されて、図書館の奥でスカートとパンティを取られてしまったすずちゃんが、人に見つからないように四つん這いで逃げ回ったりして、だけど、別の2人組の男に捕まって、M字開脚で抱えられて、撮影されながら歩き回られてしまったってストーリーだったよな。で、このシーン57は、その動画をネタに揺すられて、全裸ストリップをさせられて、オナニーをさせられちゃうってところだな。・・・すずちゃん、分かった?」

 「・・・は、はい・・・」
今指示されたシーンは、撮影スタッフの6人にとって、それはありきたりなシーンだったが、梨沙にとっては、信じられないほど恥ずかしいことだった。だいたい、梨沙はオナニーをしたことがなかった。ただ、すずのビデオを見たことで、どのようなものかは何となく分かっていた。あんな恥ずかしいこと、私がしなくちゃいけないの?・・・昼間の図書館で、AV撮影されながら?

 梨沙がぼうっとしている間にも、カメラマン2人、照明、アシスタント達はそれぞれの持ち場に素早く移動していた。

 「それじゃあ、前のカメラが脅迫者の目だと思って、すずちゃん、カメラを見ながら、恥ずかしそうに制服の上も脱いで、素っ裸になるんだ。あ、その時、そのリボンは残しておいてくれよ・・・そこからは、まずはM字開脚でオナニー、後は適当にしてくれればいいから。」

 「・・・はい・・・」
そんな、そんな・・・しかし、今さら自分はすずではないと言い出せる雰囲気ではなかった。見つかってから時間が経ち、シーンも撮影してしまった。それでなくてもスケジュールの遅れにいらいらしているプロデューサーがそのことを知ったら・・・やっぱり、やるしか、ない・・・

 梨沙は悲愴な覚悟を決めると、その場に立ち上がり、カメラを見ながら、股間を覆う手を外した。再び秘部が露わになり、スタッフの視線が集中するのが分かった。
(い、いや、そんな目で見ないで・・・)
梨沙は怯えた表情を浮かべながらも、震える指でブラウスのボタンを一つずつ外していった。

 ブラウスを脱いで、次にブラジャーも取り去った梨沙は、一旦両腕で胸を隠したが、はっと気付いたようにカメラを見ると、辛そうな表情を浮かべ、両手をゆっくりと下ろしていった。その絶妙な表情と演技に、プロデューサーは驚愕していた。よし、今日のすずちゃんは最高だな。なんだ、この、本物の処女の女子高生みたいな初々しさは!?・・・こりゃ、傑作が撮れるぞ・・・

 しかし、次のオナニーシーンで、プロデューサーはがっくりすることになった。すずのオナニーが、まるで素人なのだ。いや、素人だって普通にオナニーができるだろうに、今のすずは、乳房を掴み、股間を触っては、びくっと驚き、なかなか進まないのだ。
「おい、すずちゃん、ふざけてんの? 今までの作品と同じようにやってくれればいいんだよ。確かに本物のウブな女子高生だったらそんな感じかもしれないけど、そこまでリアリズム、求めてないから!」

 しばらくそのシーンの撮影を続けてから、ついにプロデューサーは諦めた。すずちゃん、反抗しているのか?・・・それとも、本物の女子高生をきっちり演じたいって主張しているのか・・・なるほど、それならそれで、そういうストーリーにしてやればいい。分かったよ、すずちゃん・・・臨機応変の対応は、現場監督としての基本だった。


 シーン57の撮影が終わると、梨沙はようやく制服を着ることを許された。スカートとパンティはプロデューサーが持っていたものを渡された。

 「はい、それじゃあ次のロケに移動しまーす!」
アシスタントがそう言うと、皆、図書館の玄関へと歩き始めた。

 (柏原くん、どこにいるの・・・)
6人と一緒に歩きながら、梨沙はちらちらと視線を周囲に走らせたが、柏原の姿は見あたらなかった。

 結局、梨沙は逃げることもできず、6人と一緒に図書館の駐車場に行った。
(あ、この車!)
その異様な車に、梨沙は見覚えがあった。渋谷でオートバイに乗っていた時、黒川が乗って追ってきた、鏡張りの車・・・嫌な予感がして、梨沙は足がすくんだ。この車に乗ってしまったら・・・

 「あの、すみません・・・トイレに、行きたいんですけど・・・」
それは嘘ではなかった。隠れながらずっと我慢していたのだ。それに、女性は他にいないので、トイレに入れば逃げることができる・・・そういう計算もあった。

 「ああ、トイレ?・・・どっち?」

 「あの、小さい方、です・・・」

 「じゃあちょっと我慢して。すぐにさせてやるから!」
プロデューサーはぞんざいにそう言うと、梨沙の背中を押した。
「お前の遅刻のせいで時間がないんだよ。今日はあと、3つもロケしなくちゃいけないんだぞ! さあ、早く乗って!」


 つんのめるようにして乗ると、梨沙は以外な光景に目を丸くした。車の中は全面ガラス張りになっていて、まるで屋外にいるようだった。
「え、こ、これって・・・」

 「ほお、撮影してなくてもなりきってるのかい、すずちゃん?・・・これは、マジックミラーカー、すなわち、外からは鏡に見えるけど、中からは外が丸見えね。」

 「は、はい・・・」
(それにどんな意味があるんだろう・・・)

 「それじゃあ、撮影始めるよ」

 「はい・・・」

 「全部脱いで」

 「えっ?」

 「だから、周囲の一般人を意識しながら、ここですっぽんぽんになって」

 「そ、それはちょっと・・・」
このメンバーにはもう見られてしまったけど、通行人の顔を見ながらなんて・・・

 「あれ、まだ我が儘言うの? これ以上駄々こねるなら、こっちにも考えがあるよ・・・挿入なしの可愛い羞恥ものじゃなくって、力ずくの輪姦物に変えてもいいんだよ?」

 「す、すみません! 言うとおりにしますから・・・」

 そして、運転手のアシスタントを除く5人に見られながら、梨沙はまた、制服を脱ぎ、下着も取り去って、全裸を晒すことになった。

 「はい、それじゃあ、M字開脚!」
プロデューサーは有無を言わせぬ口調で言った。
「カメラはずっと回し続けとけ。後で編集すればいいから。」

 「は、はい・・・」
それはすずのビデオを見ていたからこそ分かる言葉だった。あんな卑猥な格好を、こんなところでしなくちゃいけないなんて・・・

 少女が顔を真っ赤に染めて、両脚を震わせながら開いていく様子を、スタッフは息を呑んで見つめていた。本当に今日のすずちゃん、最高の演技だ・・・可憐で、恥ずかしくて死んじゃいそう、という乙女の雰囲気・・・カメラマンの手にも力が入った。

 「はい、次は人差し指で、あそこをぱっくり開いて! お前は真ん前から撮れ、お前はこっちから、通行人が入るように! 照明はこっちからに決まってんだろ! すずちゃんは、このカメラが脅迫者だと思って、許しを請うような眼で恥ずかしそうに!」
プロデューサーはてきぱきと指示し、あとは梨沙が指示どおりの演技をするだけになった。

 車は渋滞気味の道をしばしば停止しながら走っていた。ガラス越しに見える周囲には、歩道には学校から帰る生徒たち、ビジネスマン、OL、高齢者・・・様々な人たちが歩いたり、自転車に乗ったりしているのが見えた。

 私、こんなところで裸になってる・・・否が応でも、梨沙の脳裏には、遊園地での全裸逃走や、オートバイでの渋谷疾走などが次々とフラッシュバックした。M字、開脚、しなくっちゃ・・・梨沙は怯えた表情を浮かべ、周囲に落ち着かない視線を向けながら、ゆっくりと脚を開いていった。人差し指でぱっくり開いて!、とプロデューサーがジェスチャーで指示するのが見えた。

 (・・・いやあ、こんなの!)
梨沙は歯を食いしばりながら両手を秘裂に当て、ぐいっと開いた。膣口が開き、中に空気が入ってくるのを感じて、梨沙はひぃぃっと掠れ声で悲鳴をあげた。

 「はい、カット! 良かったよ、すずちゃん!」
プロデューサーがそう言って手を叩くと、他のスタッフも続いて拍手した。マジックミラーカーの中は、奇妙な拍手喝采に包まれた。
「あ、ポーズはそのまま、崩さないで」

 「え、そんな・・・もう、許してください・・・は、恥ずかしいです・・・」
開き切った秘裂を大勢の男にまともに見られ、梨沙は消えてなくなりたい気持ちだった。身体の奥がじゅん、とまた熱くなった。

 「いやあ、本当にいいよ、今日のすずちゃん! 見直したよ!」
プロデューサーが熱のこもった口調で言った。
「・・・まあ、俺も含めて、君との仕事は今日が初めてだけど、ビデオとか、噂で聞いていたのとはだいぶ違うんだね。すっごくウブで、可愛らしい恥ずかしがり方で、まるで本物の優等生の女子高生みたいだよ! 頭と性格の良さがにじみ出てる感じで最高だよ! な、みんなもそう思うだろ?」
最後の言葉に、スタッフ達がにこにこしながら頷いた。
「よーし、今日は最高に可愛く、エロく撮ってあげるからな。最高傑作になるぞ!」

 本当に女子高生なんだから当たり前だと思ったが、もちろんそう言うことはできなかった。とにかく、ここはすずになりきって逃れるしかないのだ。いつかチャンスはある。特に、トイレに行くとき・・・車の外に見えている周囲の人々は、やはりこの車の中は見えていないようだった。梨沙は、徐々にこの環境に馴染んでいた。しかしもちろん、女の子の最も恥ずかしい部分を丸出しにされている羞恥が減じるわけではなかった。

 それにしても・・・梨沙は妙な感慨を覚えていた。この男の人たち、すっごく、優しい目で私のことを見ている・・・プロデューサーも、仕事の進捗と出来にはものすごく厳しいけど、私が頑張ると、親みたいな愛情のこもった励まし方をしてくれる・・・他のスタッフの人たちも、すごく真剣に仕事しているし・・・アダルトビデオを作る人たちって、もっと下品で、女性のことなんか商品としてしか見てないと思ってたのに、ちょっと、違うみたい・・・

 いつしか、特出しにされている梨沙の襞が、透明な粘液にまみれていた・・・



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