PART 13

 第二ゲームは彩が巻き返してジュースとなり、一気に形勢逆転の様相を呈してきた。

 浩と後輩女子2人はなりふりを構っていられない状況だ。
 浩は早速、彩のトスの瞬間に時間を止めた。ネットを飛び越えて駆け寄り、ちょうとトスを上げた彩の前に立ち、スコートの裾を掴んだ。
(前をもっとがばっと捲って、と)
 今までよりも大きく、思い切りスコートを捲ったため、彩の水色のパンティの全面が完全に露出した。
(よし、これならどうだ!)
 女子の力を借り、以前の移動10センチの制限がなくなったことが気持ちよかった。

 しかし、してやったりという顔の浩に、麻実と美里は呆れた視線を向けた。
「先輩、甘いですよ、そんなの」
「これって、この前負けた時とほとんど変わらないじゃないですか」
 そう言いながら、ゆっくりと歩いてくる。

「これ以上って、まさかパンティを下すのか?」
 浩はぎょっとした。そんなことをしたら、サークルの全員が見守る前で、彩は秘部を丸出しにすることになってしまう……さすがにそれは少しためらわれた。

「まあ、さすがに前は可哀想ですね」
 麻実はそう言いながら、まずは彩のスコートの前を下した。
「でも、こっちなら、ね?」
 麻実は彩の後ろに回り、スコートの後ろを半分ほど捲った。水色のパンティに包まれたお尻が半ば露出する。

「うん、そのくらいでいいんじゃない」
 今度は美里が彩の後ろに回り、少し屈んで彩の腰に手を伸ばした。
「よいしょ!」
 美里は彩のパンティを掴み、太ももの真ん中まで引き下ろしてしまった。

「お前ら、鬼だな…」
 浩は呆気に取られてつぶやいた。露出してしまった彩のぷりんとしたお尻から目を離すことができない。

(さ、男子のみんなにも見せてあげましょうね)
(若杉先輩の反応が楽しみ!)
 浩の顔を見て笑いながら、二人の女子は目を合わせて笑った。

 時間停止が解除された。

(え?)
 サーブを打とうとしていた彩は、お尻に空気が当たることに違和感を覚えた。太ももにも何かが絡んでいるような気がする……彩はサーブの動きを止めた。
「……え、嘘!?」
 気のせいかと思ったがやっぱりおかしい……彩は事態が呑み込めず、サーブを打つ直前のポーズのままで数秒固まった。

 青空の下、彩の健康的な下半身の後ろ側が露出し、周囲を囲むサークルの男女の視界に晒されていた。スコートが捲れ、水色のパンティがなぜかずり落ちて太ももに絡んでいて、可愛いお尻が丸出しになっていた。水泳部で合宿の時について日焼け跡がくっきり残っていて、白いお尻と灼けた太ももの対比が刺激的だった。

 一瞬、唖然としたギャラリーだったが、コートはすぐに歓喜のどよめきと悲鳴に包まれた。
「おおおっ」
「すっげー」
「若杉のケツw」
「日焼け跡エッロ!」
「きゃあ!」
「先輩、お尻!」
「男子見るな!」
 憧れの女子の生尻を見て喜ぶ男子も、悲鳴をあげる女子も、皆が彩の魅惑的な尻に視線を釘付けにしていた。

「……! きゃ、きゃあ!!」
 パンティが太ももの半ばまで落ち、スコートの後ろが捲れてお尻が丸出しになって、みんなに見られている……事態は把握した彩は悲鳴をあげてラケットを放り出した。

「フォールト!」
 審判の武田の声が響いた。彩が放り出したラケットに落ちてくるボールが当たっていたのだった。
「みんな静かに! 若杉は服装を直して早く次のプレーを!」
 武田の声はいつもの冷静さを少し欠いていた。審判台の上からは彩の尻が見えず、密かに残念に思っていた。

 パンティを引き上げたが、動揺が続き、セカンドサーブもミス》
「アドバンデージ、滝沢」

(ふふ、恥ずかしがる先輩、可愛い!)
(男子嬉しそう! もっとサービスしましょうねw)

 今日は合宿の最終日なので練習は午前で終わりだ。他のスケジュールを考えると、彩に配慮して中断することはできない……それがチーフでもある武田の判断であり、皆もそれに同意する雰囲気だった。彩は仕方なく、パンティをしっかり引き上げたのを確認して、ゲームを続行するしかなかった。

 しかし、下半身が気になる彩は、次のセカンドサーブに力を入れることはできなかった。甘いサーブを滝沢にレシーブで攻め込まれ、ラリー戦となった。

 右へ左へと走りながらスイングをする彩の姿を男子たちは楽しそうに目で追っていた。ひらひら舞い上がるスコートの裾と太ももが眩しかった。ときおりちらりと水色のパンティが見えると、その下の生白い尻を見た記憶を刺激されてまたたまらなかった。
「パンティのゴム緩んでるから気をつけろよー」
「さっきは一瞬しか見れなかったなあ」
「若杉のエロケツ、また見たい」
「日焼け跡エッチだねー」
 一部の男子はわざとからかい、彩にミスをさせようとした。

 しかし、逆境になると燃える負けん気の強さが彩の長所だった。今はアドバンテージを取られているのだから、このポイントを取られたらもう一枚脱がなくてはならない……
(ふざけないで、絶対に負けないんだから…あ、次の球なら打ち込めそう!)
 スコートとパンティが気になりながらも粘り強くラリーをした結果、ついにチャンスボールが来たのを見て、彩の肩に力が入った。

 次の瞬間、時間が停止した。
「ごめん、また助けてー」
 浩の声が上擦っていた。
「ほんとにしつこいなー、若杉」

「もう、ただの実力負けじゃなにですかあ」
「仕方ないなあ、もう一回って、ちょっと無理があるんですけどー」
 麻実と美里はぶつぶつ言いながらも、ラケットを構える彩の後ろに回り、パンティを太ももの下の方まで大胆に下げてしまった。

 時間停止が解除された。

(あれ、もしかして……でも、ここで決めないと)
 ネットを越えてくる力の無いボールを目で捉えたまま、彩は違和感に戸惑った。しかし、今度はギャラリーからのからかいの声は聞こえてこない。
(もしからしたら下着は下がってるかもしれないけど、スコートは捲れてないよね……このポイントだけ……)
 目の前に落ちてくるボールを見ながら、彩は小さくステップを踏んでラケットを後ろに振りかぶった。次のショットで決めるのだ……

 しかし彩の認識は間違っていた。スコートの後ろは大きく捲られていたため、再びお尻が丸見えになっていた。しかも、ショットに力を込めるために膝を曲げて腰を下げていたため、後方に向けてお尻を突き出す格好になっていた。その魅惑的な姿を、ギャラリーは今度は黙ってじっくりと観察していた。

 彩がスイングを始める直前、堪りかねた一部の後輩女子が悲鳴をあげた。
「きゃあ、先輩、お尻丸出し!」
「男子、黙って見るんじゃないわよ!」
「ばか、静かにしてろ」
「もう少し見たかったのに(笑)」

 スイングしようとした瞬間に聞かされた彩のラケットが止まった。注意を向けると、今度はお尻に外気が触れるのをはっきり感じた。
「きゃああっ!」
 彩はまた、ラケットを落とし、スコートを押さえた。さっきまではちゃんと穿いていて、落ちるはずなんかないのに……

「ゲーム、滝沢」
 審判の武田の声が遠くに聞こえた。

 絶好のチャンスがあったのにゲームを取られてしまったこと、サークルの皆に2度もお尻を見られてしまったこと、2つのショックにさすがの彩の足が崩れた。
「……」
 コートでしゃがんだまま、彩はしばらく何も言えなかった。うっすら涙ぐみ、小さくしゃくりあげる声が聞こえた。

 心配するような励ますような空気をまといつつ、男子たちが静かに彩の周囲に集まってきた。皆の視線はしゃがんで露わになった太ももに集中していた。
「まあ、気を落とすなよ」
「次のゲーム取ればいいんだからさ」
「ドンマイ!」
「調子はいいんだからさ」
「絶対勝てるよ」
「応援するから、もう少し頑張れよ」
 皆の言葉はどこか空々しかった。

 一方、女子たちは必死になだめる男子たちを冷ややかに見つめ、ヒソヒソ話をしていた。
(絶対、彩ちゃんの脱衣テニスをもっと見たいだけだよね)
(男子って最低!)
(でも、若杉先輩も反省するいい機会かも)
(少し強いからって後輩に厳しすぎたもんねー)
(まあ、確かにねえ)
(女子リーダーとして、ちゃんとルールは守ってもらわないとね)
(イレギュラーでミスした、は言い訳にならないよね)
 男子たちにちやほやされながらうずくまっている彩に向けられる視線はやや厳しかった。

 突然、時間が停まった。
(あれ、なんで?)
 浩は視線を麻実と美里に向けた

 二人の女子はゆっくりと彩に近づいた。
「もう少しお仕置きしちゃおっか?」
「男子ももっと見たいよね(笑)」
 彩の後ろに左右から回り、両側からそっとスコートを持ち上げた。
「今度はスコートが3秒は持ち上がったままにしようね」
 そう言いながら指先でスコートを叩いた。

「そんなことできるのかよ……くそ、俺も見たいな」
 コートの向こう側の浩が悔しそうに言った。

「大丈夫ですよ。後でもっと恥ずかしい格好、沢山見れるじゃないですか」
「計画どおりなら、お尻どころじゃないですよね(笑)」
 地団太を踏む先輩を眺め、麻実と美里はくすくす笑った。
 
 時間停止解除。
 うわっとどよめきかける男子たちに向け、麻実と美里がシーっと口元に指を当てた。

(パンティ上げてない(笑))
(ケツぷりぷり!)
(さっきよりよく見える!)
(日焼け跡エロすぎ)
 ……今度の姿は、今まで2回の尻の露出よりもさらにエッチだった。男子たちの至近距離に、しゃがんで突き出した尻が露出しているのだ。スコートが大きく捲れ、日の光が尻の下半分に直接当たっていて、生白い肌が眩しく輝いていた。

 皆が息を呑んで見つめた3秒の後、ふわりとスコートが落ち、尻が隠れた。茫然としている彩は恥ずかしい露出に気付くことはなかった。

「それじゃあ、もう一枚、脱いでもらおうか?」
 ネットの向こうにいる浩が声を掛けた。

「え?……」
 彩が驚いた顔を見せた。これ以上、女の子に恥ずかしい恰好をさせるつもり……?

「ルール変更は絶対しない、って言ったのは若杉だよな?」
 ここが勝負とばかりに、浩はギャラリーを意識して声に少し力を込めた。

「それはそうだけど……」
(誰か助けて)
 彩は周囲を見回したが、助け舟を出してくれる者はいなかった。



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