PART 7

 「い、いやっ、そんな目で見ないで・・・」
男子達のニヤニヤした視線に晒され、麻由香は思わず胸を腕で庇おうとしたが、いつの間にか後ろに立っていた陽菜に止められた。

 「先輩、良かったですね。カメラに映らないなら、早く演技して、服を返してもらいましょうよ。」
陽菜は笑顔で言った。

 「陽菜ちゃんの言うとおり。それから、もう一言、俺達に言うことがあるんじゃないか、麻由香?」
佐々岡が意味ありげに言った。
「俺達からのクリスマスプレゼント、お前が騒いだせいで、みんなすっげえ叱られて頭丸めさせられたんだけど、どう思う?」

 「な、何を言ってるのよ、当たり前じゃない! 女の子にあんな嫌らしいレオタード送って、それを着て練習しろだなんて、叱られて当たり前じゃない。」
麻由香は鼻白んだ。

 「だけど、その嫌らしいレオタードを喜んで着てるのは誰だよ?」
麻由香が黙り込むのを見て、佐々岡が笑った。
「・・・まあ、ちゃんと御礼が言えたら許してやるよ。・・・言わないなら、この場でレオタード、没収するよ?」

 (・・・さ、最っ低っ)麻由香はそう言いたかったが、男子達に囲まれて全裸にすると脅されては、抵抗できる筈が無い。麻由香は、きっとした顔でバスケ部員を見ながら言った。
「れ、レオタードを頂いて、あ、ありがとう、ございました・・・」
麻由香は吐くような思いでやっと言った。どうして、こんな破廉恥な格好にさせた男達に御礼なんか・・・口惜しさに唇を噛んだ。

 「おいおい、それが感謝する態度か? そんな怖い顔でつっけんどんに言われてもなあ。」
佐々岡が呆れたように言った。
「なあ、陽菜ちゃんなら分かるよなあ。ちょっと・・・」
そう言って陽菜を手招きし、何やら耳元に囁いた。
「じゃあ陽菜ちゃん、よろしくね。・・・麻由香は、陽菜ちゃんの言う通りにしないと、その場でレオタード、返してもらうぞ。」

 そして、陽菜から伝言を聞いた麻由香は、屈辱に顔を歪めたが、やがて観念して、目の前のバスケ部員達と田之倉のカメラの方を向いて話し始めた。
「S高校2年1組の、本条麻由香です。・・・このレオタードは、N高校のバスケ部の皆様から頂いたクリスマスプレゼント、です。可愛くて、とっても気に言っています・・・」
続きのセリフを陽菜から聞き、ためらいながら続ける。
「・・・それなのに、クリスマスの時には、こんな素敵なレオタードを送り返してしまい、本当に申し訳ありませんでした。ま、麻由香の自慢の、お、オッパイとお尻を男の子達に見てもらって、とっても、うれしいです・・・」
また、陽菜が囁く。今度は、麻由香の顔が苦渋に歪んだ。い、いや、そんなの・・・と消え入りそうな声でつぶやいた。
「・・・これから、新体操の演技を披露しますが、ま、麻由香のオッパイが揺れるところや、れ、レオタードが食い込んでお尻がはみ出ちゃうところ、どうぞよくご覧ください・・・」

 「はーい、分かりましたあ。」
男子達が声を合わせた。まだ麻由香は、24人の男子の前で、恥毛まで透けて見せてしまっていることを知らない・・・麻由香に気付かれたら終わってしまうので、じっくりと見ることができないのだけが残念だった。


 そして、ようやく二回目の演技をすることになった。一回目とは別の種目で演技するよう命令されたため、麻由香が選んだ種目は、ボールだった。

 「それじゃあ、頑張ってくださいね、麻由香先輩。」
そう言って美加は音楽スタートのスイッチを押した。

 麻由香にとって、ボールはやはり得意種目だったが、透け透けのレオタードを着せられた今は、別の意味での困難の連続だった。
 脚を開きながらのジャンプ、膝をついて上半身を大きく後ろに反らし、股間と胸を前方に突き出すポーズ、ボールを斜めに高く放り投げて前転しながらボールを受け取る時の尻を突き出すポーズ、右脚を真っ直ぐ上に上げ、その脚を頭の上から回した左手で掴んで静止するポーズ・・・羞恥のポーズの連続を麻由香は必死に演じていった。

 そして、麻由香の羞恥を知っていながら、男子達は遠慮なくその痴態を堪能していた。
「うわ、すっげぇ、優等生の麻由香ちゃんがケツにレオタード食い込ませてるよ(笑)」
「はは、可愛いお尻がほとんどはみ出てるよ、麻由香ちゃん、直した方がいいんじゃないの?」
「おお、スクリーンにケツどアップ! カメラマン、分かってるねえ。」
「そんなに見せたいなら、ケツの穴も見せちゃいなよ、麻由香ちゃん!(笑)」
今まで聞いたことも無い野卑な言葉を浴びせられ、可憐な美少女が頬を真っ赤にさせるのがまた男子達を愉しませていた。

 (う、嘘よ、そんなの・・・私を失敗させるためよ・・・絶対、そんなに見えてないんだから、気にしちゃ駄目よ。)
確かに布が尻に食い込むのを感じながらも、必死に演技を続ける麻由香だった。

 しかし、終了30秒前。右脚をびんと真上に突き上げるシーンの時、一斉に歓声が上がった。
「あ、見えた、麻由香ちゃんのアソコ!」
「ほんとだ、そんなに股を開くから、透けちゃって割れ目の中のピンクまで見えてるじゃん」
「さっすが、全国レベルの人はアソコが見えても動揺しないんだね(笑)」

 (え、う、嘘っ!)麻由香は内心で激しく動揺した。胸とお尻が少し透けてしまうのは泣く泣く我慢したが、17歳の女の子が秘部まで見られる覚悟などしている筈がない。
(も、もう少しなのよ。もう少しで終わっちゃうから、焦って私を動揺させようとしているのよ、絶対そうよ。)
そして、麻由香は最後の大開脚シーンに挑んだ。(大丈夫、絶対に見えないわ)

 しかし、高く上げたボールを受け取り、同時に上半身を斜め下に反らして、右脚を斜め前方に高々と上げ、股間が開くポーズになった時、男子の歓声に混じって、よく響く女性の声が響いた。
『きゃあ、先輩、見えちゃってるっ!」
「だ、だめ、男子はみんな見ちゃだめえっ!!」
それは、陽菜と美加の声だった。

 「そ、そんな! い、いやあっ!」
さすがの麻由香も後輩女子二人の悲鳴には動揺し、一瞬、手で股間を庇おうとした。(あ、だめっ!)すぐに我に帰って手を伸ばしたが間に合わず、右手で持っていたボールが滑り落ちてしまった。
「あ、あ、だめ・・・」
麻由香はそこで座り込み、ボールが転がって行くのを見送るしかなかった。


 「・・・今回も失敗だな、麻由香。」
しばらくの沈黙の後、佐々岡がきっぱりと宣告した。
「じゃあ今度の罰は、約束どおり、それを脱いで素っ裸で演技、でいいよな?」
その言葉に、男子達はニヤニヤ笑いながら、麻由香の肢体を見つめた。

 「・・・そ、そんなの、無理です・・・」
麻由香は軽蔑する男に頭を下げるしかなかった。確かにミスをしたのは事実であり、弁解の余地は無かった。
「お、お願いです。ほ、他のことならどんな罰でも受けますから・・・」

 「へーえ、どんなことでもいいんだな?」
佐々岡がにやりと笑った。
「それならまあ、考えてやらないでもないけどな・・・しかし、急に言われても難しいな、裸にはならないけど、今より恥ずかしい罰かあ・・・陽菜ちゃんと美加ちゃん、何かあるかい?」

 「え、私達、ですかあ・・・? 私達、スケベな男子じゃないんですから、そんなこと聞かないでください。」
その言葉とは裏腹に、陽菜はどこか嬉しそうに手を振った。

 「違うんだよ、女の子だからいいんだよ。こいつらだと、どうせオッパイ揉ませろ、とか下品な案しか言わないに決まってるからな。」
佐々岡が言うと、おっしゃるとおり、麻由香ちゃんの柔らかいオッパイ、揉んでみたいでーす、と声が響き、失笑が湧いた。
「それよりも、女の子だったらどんなのか恥ずかしくて辛いか、教えて欲しいんだよ。言うとおりに命令するからさ。」

 「やっだあ、佐々岡さん、それじゃあ私達が先輩を苛めるみたいじゃないですかあ?」
陽菜がますます頬を緩めながら言った。

 「でもさあ、ちょっと面白そうじゃない? 私、先輩の綺麗な裸も見てみたいけど、先輩がもっと恥ずかしがるところも、ちょっと見てみたいなあ。」
美加が目を輝かせて言った。
「あ、もちろん、先輩が裸にならないですむようにするためですよ。」

 「ちょ、ちょっと、陽菜ちゃん、美加ちゃん!」
後輩の女子二人の言葉に、麻由香の違和感はますます大きくなっていた。あなた達が変な悲鳴なんか上げたから、あんなミスをしたんじゃない・・・それなのに・・・

 「じゃあ決まりだな。次の演技でも何か着ていいから、その代わりに、恥ずかしいショーを麻由香にさせて、俺達を楽しませること。」
麻由香の抗議には取り合わず、佐々岡は陽菜と美加に向って言った。

 「ええ、それでいいですよ。・・・但し、次の服装は、オッパイやお尻やアソコが見えるものにしないって約束してください。」
そう言いながら、陽菜が麻由香を見た。
「それでいいですよね、先輩?」

 「わ、分かったわ・・・」
麻由香は曖昧に頷きながら、内心で少し安心していた。結局、協力するフリをしながら、後輩の二人が主導権を握ったのだ。少しだけ恥ずかしい思いはさせられるかもしれないが、今みたいに乳首が透けて見えるような服は避ける約束も取ってくれたのだ。


 「それじゃあ、麻由香ちゃんの恥ずかしいショー、見せてもらおうか。陽菜ちゃん、どうする?」
佐々岡が陽菜達の方を見て言った。

 「それじゃあ、今の演技のリプレイ、皆で見ませんか? 私だったら、それが一番恥ずかしいな。」
「それに、ミスをした罰なんだから、どうして自分がミスをしたのか、振り返ることも大事だし。」
陽菜と美加が続けて言った。二人とも、麻由香の顔を見て小さく笑う。

 麻由香はその時、まだ陽菜と美加の真意が分からず、二人に感謝すらしていた。(そうね、リプレイなら、新しく恥ずかしいことする訳じゃないものね。仕方無いわ・・・)


 そして、麻由香が大スクリーンを背にする位置に立たされた。
「それでは、本条麻由香のボールの演技、ご覧ください・・・失敗してしまい、申し訳ありませんでした。しっかりと振り返って深く反省したいと思います。」
陽菜に指示された口上を述べると、大画面に麻由香の姿が大映しにされた。

 「え、う、うそっ!!」
画面上の自分の姿を見た瞬間、麻由香は悲鳴を上げた。

 それは、ボールの演技の最初のポーズだった。左脚を少し後ろに伸ばしてつま先立ちとなって両脚の美しさを強調し、両腕を斜め後ろ上方に曲げ、頭の後ろと右肩、右腕でボールを挟み込んで静止する−−−いつも通りのポーズだったが、それを正面から映した映像には、うっすらとではあるが、麻由香のピンクの乳首と乳輪、そして、黒く透けた恥毛が映っていた。

 動き出そうとしていた映像がストップした。
「どうしたの、麻由香ちゃん、何か問題ある?」
田之倉が端末を操作しながら言った。

 「い、いや、け、消してっ! 映さないで!」
麻由香は悲鳴を上げた。女の子の恥ずかしい部分が透けた状態で画像を静止させるなんて、あまりにも意地が悪いと思った。

 「あの、先輩、どうしたんですか?」
不思議そうな顔をしながら陽菜が言った。
「さっきからずっと、画面と同じ格好を見せていると思うんですけど? 今だって・・・」

 「・・・っ!」
(い、いやあっ!麻由香は慌てて腕で胸と股間を庇ったが、皆の失笑を浴びただけだった。

「そうそう、今更遅いって。俺達、麻由香ちゃんの乳首とアソコの生え具合、ばっちり覚えちゃったもんね。小さめで可愛い生え方だね、アソコの毛(笑)」
「だけど、あそこがスケスケなのに、よく大勢の男の前で大股開きなんかできるよね、麻由香ちゃん?」
「よく見えなかったけど、ビデオでじっくり見れば、割れ目まで見えるんじゃねえか?(笑)」
「それに、一瞬だけど、四つん這いでケツ突き出すポーズあったよね? 絶対にあの時、ケツの穴も透けてるぜ。」
「良かったね、麻由香ちゃん、ビデオの調子が戻ったみたいで。 ほら、ばっちり透けてるのも映ってるじゃん。」
「さっすが陽菜ちゃん、こんな嫌らしい目で見られたら、リプレイって物凄く恥ずかしいだろうね(笑) もちろん、リプレイはスローモーションとかコマ送りありだよね?」
 
 「えー、この格好でスローモーション、ですかあ? それって、ちょっと、恥ずかし過ぎいっ!」
陽菜が楽しそうに笑った。
「あ、でも、恥ずかしい思いしてもらうのが罰なんでしたっけ。それじゃあ、仕方無いですね、先輩?(笑)」


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