PART 55(bbbb)

 芳佳はその日の午後、柏原からの連絡がなかなか入らずやきもきしていた。緊急生徒総会が開催されることになったことや、自分の下着姿が公開され梨沙が脅されていること、他の女子の裸の画像の写真で脅されて梨沙がストリップに同意したことなど、途中までは逐一メールで連絡が入り、その度にこうして欲しいと依頼メールを送って、そのとおりにしてもらったはずだった。

 並行して、黒川が登場したと連絡を受けた段階で、芳佳は急いで会社の父、道雄に連絡を取り、事情を話して、今すぐ黒川にやめさせるよう、圧力をかけてほしいと依頼したのだった。
 道雄はしばらく考えてから、分かった、心配するな、と言ってくれた。また、数十分後に電話してきて、今すぐやめるよう手を打ったから大丈夫だ、と言ってくれた。

 しかし、本当に間に合ったのか・・・芳佳はやきもきして柏原にメールをしたが、しばらく返信がなかった。紀子に聞いてみようかとも思ったが、裏のことは柏原以外には知らせない方がいいと思って我慢した。

 ようやく柏原から連絡が入ったのは、6時を過ぎた頃だった。躊躇いがちに話す柏原から、できるだけ詳細に話を聞き出した芳佳は、梨沙の受難に驚き、心から同情した。一方で、少しほっとした。お父さん、何とか、最悪の事態の前には収束したみたい・・・
 芳佳は柏原に礼を言い、自分も透視映像のことは梨沙には知らせないと言った。

 ただ一つ、疑問が残った。黒川が上機嫌そうな声だった・・・ということは、圧力というムチではなく、何らかのアメを使ったということなのか・・・また、ネット上から梨沙の全裸バイク画像を消去すると約束したのは、一体どうするつもりなのか・・・

 芳佳は気になり、ノートパソコンを起動した。ネットの匿名掲示板や有名SNSを確認しようと思ったのだ。昨日は、梨沙が裸でオートバイの後ろに乗り、お尻を突き出した写真が沢山掲載され、これは誰なのか、と下品な話題で盛り上がっていた・・・

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 梨沙と芳佳がネットを検索した結果、渋谷での全裸オートバイの話題は、ネット上では極端に下火になり、ほとんどどこにも見あたらなくなっていた。

 不思議に思いながら検索を続けた2人は、すぐに、ネット上が全く別の話題で独占されていることを知ることになった。

 今、人気ナンバーワンのアイドル、小野寺陽子の温泉盗撮画像流出!?・・・アイドル史上最大の事件が発生していたのだ。

 どうやら、画像は最初は一枚がある掲示板に貼り付けられ、10分から20分程度の間隔を置いて、それぞれ違う掲示板やSNSに投稿されているようだった。


 ---最初は、温泉に浸かって肩だけ出して笑顔の画像、次は、温泉から立ち上がりかけて、きれいな乳房が露出している画像、さらに続いて、お湯から上がる後ろ姿で尻丸出しの画像・・・最後には、全裸で歩く正面からの姿・・・

 唯一の救いは、乳輪と股間、お尻の真ん中あたりに、モザイクをかけられていることだった。しかしそれは、見る者の欲求を更に高めることに繋がっていた。

 画像は全部で14枚あり、陽子が風呂に入ってから身体を洗い、湯船に浸かってから出るまでの様々な姿が映っていた。全てが投稿されてから一時間もしないうちに、まとめサイトが作成され、簡単に陽子の全裸入浴姿が見れるようになってしまった。

 またしばらくすると、ある者が、それぞれの写真に一文字ずつ、見つかりにくいように埋め込まれていることを発見した。それをネットに投稿された順にに並べるとこうなった。
『明・日・の・ラ・イ・ブ・で・エ・ロ・水・着・に・な・れ』

 深夜のネット上では、今までにないような「祭り」が一晩中続いた。

 渋谷でお尻を見せてオートバイに乗っていた匿名の少女の話題の価値など、国民的トップアイドルのヌード流出&痴態強要に比べたら無に等しかった---


 ・・・もしかして、これが黒川の言っていた、梨沙の画像の消去なのか・・・自分のために、あの小野寺陽子が裸にされてしまったの? まさか・・・

 遊園地のこと、保健室のこと、緊急生徒総会のこと、小野寺陽子の事件のこと・・・様々な思いが交錯して、梨沙はなかなか寝つけなかった。

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 梨沙以上に寝付けなかったのは、K附高の男子全員だった。授業中には梨沙のエッチな写真を送られ、生徒総会では最初、かちっとした制服姿で毅然とアイリスと対峙していたのに、淫靡な黒ビキニ姿にされ、それを赤外線透視され、本人は気付かない内に、女の子が最も見られたくない部分を、大スクリーンにドアップで全校生徒に公開されてしまったのだ。クリトリス、尿道口、小陰唇、大陰唇、膣口と解説までされて・・・柏原に言われなくても、可哀想過ぎて本人に言えるはずがなかった。さらには2穴ローターでバスケをさせられ、さんざん悶え、素っ裸にされ、全裸を両手だけで隠した格好で、自分の目の前を恥ずかしそうに歩いたのだ・・・最後は、2穴の詳細解説付きのまんぐり返し・・・記憶を一つずつ反芻する度にたまらなくなり、何度も梨沙をオナペットにしてしまう生徒が続出していた。

 その後、ほとんどの男子は小野寺陽子のスキャンダルを知り、十数分ごとに公開される画像を必死に探し、保存した。そして画像公開がひとまず終わり、そこに意地悪な脅迫メッセージが描いてあることを知ると、今度は今ナンバーワンの人気アイドルをペットにすることになった。

 その後は、ある者は梨沙の裸を再び思い出し、ある者は小野寺陽子の画像がそれ以上流出していないか探し回った。夜2時、3時になっても興奮して寝付けない者がほとんどであり、一部の者はほとんど徹夜してしまった。

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 翌日の火曜日。梨沙が恐る恐る登校すると、みんながいつもどおり笑顔で挨拶をしてくれて、ほっとした気持ちになった。やっぱり、ひょっとしたら、感じてしまったことはあんまり分からなかったみたい・・・梨沙の無意識は、受け入れがたい過去の記憶を徐々に都合良く塗り替えようとしていた。

 しかし、どうしても忘れられない記憶が一つあった。それは、保健室で柏原に身体の全てを見られ、ローターで責められ目の前で何度も絶頂に達してしまったことだった。それに、柏原くん、わざと私に、信じられないほど恥ずかしいポーズをさせて、じっくり見ていた・・・アソコに顔を近付けたりして・・・それから、失神しているときに乳房を揉んで、キスまでしようとしていた・・・それは、生まれて初めての男性との経験であり、忘れられるはずがなかった。

 そのため梨沙は、柏原とだけは普通に接することができなかった。土曜日の遊園地ではバイクで危険を冒して逃げてくれたし、緊急生徒総会でも黒川に反論してくれて、裸にならなくていいように助けてくれたと思うと感謝の気持ちで一杯になるのだが、いざ彼の顔を見ると、恥ずかしい記憶が蘇り、頬がかあっと熱くなってしまうのだった。

 柏原の処分の教員会議が延期となり、来週月曜の朝になったらしい、どうやら寛大な処分になるみたい、と他の女子から聞いた時、少しほっとした。ふと、バイクの後ろに乗って全裸で柏原にしがみついていた時の感覚が蘇った。柏原君の背中、暖かかったな・・・
 梨沙の柏原に対する気持ちはめまぐるしく変わっていた。

 一方、学校の生徒達の話題はもちろん、小野寺陽子のことでもちきりだった。男子達はレアな情報を教え合い、女子達は学校で初めて知って驚愕している者が大勢いた。そして、今日のライブでは、流出犯の命令に従っていやらしい水着になるのか、が専らの関心事だった。そうなれば、それは流出した画像が自分のものと認めることになるし、従わなければ、モザイクなしの画像が流出するかもしれない・・・あるいは、急病ということにして逃げるのではないか・・・結果的に、梨沙に変に気を使うことなく、緊急生徒総会での出来事は急速に風化していくことになった。もちろん、男子の携帯端末にはしっかりと全裸オートバイの画像が保存され、記憶の中には梨沙の全裸姿2穴の構造が鮮明に残っていたが。

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 小野寺陽子の温泉全裸画像流出事件は、もちろん偶然ではなかった。

 それは、以下のような経緯だった。
・体育館での緊急生徒総会の時、芳佳が道雄に連絡、今すぐ対応を依頼。
・道雄はFテレビ幹部の営業部長に電話して差し障りない範囲で事情を説明し、黒川をFテレビグループで厚遇することにして、今すぐ梨沙への責めをやめさせるように依頼。
・Fテレビ営業部長は、アイリスグループの社長の葉川真樹に電話し、黒川をグループ中核企業であるFプロダクションの第2エンターテイメント担当部長にするから、今すぐK附への干渉をやめさせるよう依頼。
・真樹は、Fテレビ営業部長に、口約束ではなく、何か「担保」を黒川に渡して欲しいと依頼。
・真樹の真意を悟った営業部長が、真樹に小野寺陽子の温泉動画を送り、好きに使っていいと告げた。
・真樹は黒川に連絡、最初はFプロの第2エンタメ担当部長にするというアメを見せ、すぐに手を引くように命令。
・信用できないと言った黒川に対し、Fテレビの誠意だと言って、陽子の温泉動画を送付。さすがに驚く黒川に、どうせならそれをすぐに使って、梨沙の件を一気に収束させ、道雄とFテレビグループに実力を見せつけ、恩を売るようアドバイス。
・上機嫌になった黒川は、約束の時間に達したことを理由に、あっさりと梨沙を解放。
・その夜、ネット上のオートバイの全裸少女の話題を一掃するために、陽子の恥ずかしい盗撮画像を、わざとモザイクをかけ、一枚ずつあちこちに投稿。狙いどおりネット上は大騒ぎになり、徐々に増える画像で祭りに・・・


 また、騒ぎがすぐに収束しないように、シナリオは巧妙に練られており、陽子はそのシナリオ通りに羞恥と屈辱の蟻地獄に落ちていくことになった。

・月曜夜。ネットに最初の画像が流出。隠された脅迫文でさらに関心を煽る。

・火曜日、不安がる陽子に対し、犯人もこれだけ注目されては捕まるリスクが高いのだから、これ以上の画像を流出させるはずはないとなだめ、流出画像が自分と関係ないことを示すためには、ライブのスケジュールを変更すべきでないと説得。記者会見を開き、その画像は自分のものではないと否定させる。レポーター達の好奇の視線と下品な質問に引きつった表情を浮かべる陽子。
 −6人の人気女子ユニットに参加した、新ユニットとしての初ライブに出演させる。当然センターとなり、観客の歓声を浴びて楽しく歌う陽子。
 −ライブの最中に、乳房のモザイクを取って流出させる。今度も、同じ脅迫メッセージが発見されるように仕込む。「明日のライブではエロ水着を着ること」
 −ライブ終了後に、女子ユニットとスタッフがいる前でその事実を陽子に知らせる。涙目になる陽子に、明日は脅迫に従うしかないと説得。下半身のモザイクが取られた画像流出されるよりは、少し派手な水着の方が良いと渋々納得。

・水曜日。昼間のワイドショーは、陽子の乳房画像流出の話題を同情するような形で取り上げる。その日のライブは有料の衛星テレビ局で生中継されることになっており、契約の申し込みが殺到。
 −7人組の新ユニットは、最初はお嬢様風の衣装で登場し、視聴者を落胆させる。
 −しかし、アンコールの時の衣装で、他の6人はやはりお嬢様風なのに、陽子だけが、肌にぴったりと貼り付くほど薄い素材の黒ビキニで登場。観客は盛り上がり、ネットは祭り状態に。

・木曜日。ネット上に、ライブの赤外線盗撮画像が流出。陽子の黒ビキニはほぼ完全に透けてしまい、乳首も恥毛もお尻も露わに、笑顔で歌い、股を開き、激しく腰を振って踊る姿の写真が、四十数枚も流出。恥ずかしい部分にぎりぎりモザイク。「無修正ライブ動画流出が嫌なら、明日のコンサートはずっとノーパンミニスカでローターを入れて歌え。」

・金曜日。その日はソロでのラストコンサート。なだめすかされて犯人の要求に従った陽子は、最初からミニスカートで登場し、観客の好奇の視線を集める。じわじわとローターで責められ、アンコール時についに絶頂に達してしまう陽子。とっさに観客に背を向けて膝を崩した陽子だったが、四つん這いになってミニスカートがたくし上がり、きれいな白いお尻が観客に向かって丸出しになる。
 −生尻露出事件が噂になり、ネット上は騒然。そして深夜に盗撮画像が掲載され、トップアイドルのお尻が全世界に公開されてしまう。また、実はこの後、VIPに対しては秘密のお見送りがあり、陽子はM字開脚で椅子に緊縛され、秘裂に指を入れさせ、にっこり笑って締め付け続けた、という噂までまことしやかに囁かれるようになってしまった。

 国民的アイドルを襲った連日の羞恥事故に、ネット上どころか全国民が注目する騒ぎとなってしまった。たった一週間で、陽子のイメージは、誰もが憧れる清純派の美少女から、エッチ要員扱いにまで堕ちてしまった。

 「あとは、オマ○コもろ出し動画でちょっと脅かせば、ヌード写真集も了解するだろうな。撮影は野々村にやらせて、最初は美しく上品なヌード、最後はえげつないM字開脚でもさせてやるか。途中で難癖付けて縛っちゃって、バイブでイかせてもいいな。2、3回に分けてどんどん過激にして発売すればかなり儲かるな・・・その後は、人気が落ちきらない内に、衝撃のAVデビューだな。1本目はお上品にストリップとオナニーと1対1のセックスで、2本目は、いきなり3Pでもやらせるかな・・・俺も久しぶりに出演しようかな。裏では生意気だった陽子に初フェラさせるのはたまらんな・・・おい、お前は初アナルもらうか?」
「いいですねえ、AVを軽蔑してた陽子が尻に突っ込まれて目を白黒させるの、楽しみですね。けど、写真集より前に、いきなりAVの方がインパクトは大きいですよ。」
黒川はFプロの会議室で陽子の恥辱のシーンの数々を眺めながら、真樹と黒川が抜けた後のアイリス映像の社長になった木嶋と笑いあった。

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