PART 62(bbbb)

 「ねえ、あそこの上まで行ってみたいな。」
再びバイクに乗った時、梨沙は海辺にある小高い山を指差した。山の頂上に展望台らしき建物が見えた。

 「・・・うん、いいよ。」
(山の上じゃあ海水がないな・・・でも、すぐに店に戻るよりはいいか。絶対にチャンスを見つけるぞ!)

 近くに見えた小山は、実際に走ってみると意外に遠く、険しかった。そして、頂上にあったのは展望台で、2人は海がいっぱいの光景を堪能した。

 「すっごくきれいだね。来て良かったね。」
梨沙はそう言うと、両手を広げて大きく伸びをした。

 「そうだね、気持ちいいね。」
伸びをして双つの乳房の形がはっきり見え、柏原にはある意味目の毒だった。保健室や遊園地で見た乳房の記憶を必死に蘇らそうとしたが、以前ほど鮮明でなくなっていた。絶対に今日、写真を・・・

 小山を降りる時、道路にもう一つのコースがあることを発見した。「チャレンジコース:こちらが近道」・・・その看板を見て、二人はどうせなら帰りは違う道で行くことにした。

 しかししばらく走ってから、二人はその選択を後悔することになった。その道は急勾配で、舗装されていないところも多く、至る所に窪みやぬかるみがあった。

 「きゃ、きゃあ!」
「梨沙ちゃん、しっかり掴まって!」
梨沙と柏原は何度もそう叫び合い、何とか山を下っていった。

 またそこには、梨沙にとってもう一つの誤算があった。荒れた道で跳ねるバイクから落とされないように、柏原にぎゅっと強く身体を押し付け、窪みなどでバイクが激しく振動し、上下に跳ねた結果、乳房が柏原の背中に揉まれ、柏原の太ももを挟んで開いた股間がバイクのシート刺激されてしまったのだ。

 「きゃっ、あ、ああんっ、あ、だ、だめっ!」
遊園地からバイクに乗った時の記憶が突然蘇り、梨沙は秘裂にローターを挿入されている錯覚に陥った。
「あ、ああっ、あはぁ・・・柏原くんっ」
梨沙は必死に呼びかけたが、バイクの轟音と目の前の荒れた道に集中している柏原には届かなかった。
(だめ、このままじゃおかしくなっちゃう!)梨沙は悶えながら何とか柏原にしがみ続けた。やだ、気持ちよく、なっちゃう・・・柏原くん・・・

 柏原のバイクは止まることなく走り続け、十分近くかけてようやく山を降りきった。
「梨沙ちゃん、大丈夫?・・・いてっ! いててっ、いってぇ!」
柏原は、梨沙に何度も背中をひっぱたかれた。バカバカバカ、という声も聞こえてきた。


 それから10分ほど走り、バイクは高台にあるレストラン兼サーフショップに戻ってきた。小山を降りる時に絶頂寸前まで追い詰められた梨沙だったが、少しだけ、性感が落ち着いてきた。とは言え、ともすれば喘ぎ声を漏らしてしまいそうだったので必死に口を閉じていた。一方、梨沙はまるで、柏原に優しく抱かれているような気がしていた。

 「さあ、やっとついたよ。お疲れ様。」
柏原は恐る恐る言った。さっき叩かれた背中がまだじんじんと痛かった。荒っぽい運転したから、怖がらせちゃったのかな・・・

 そして、バイクを先に降りて、後ろの梨沙に手を貸そうと振り返った時、柏原はぎょっとして固まった。

 オートバイの後ろの席に跨がっている梨沙は、リスが施された白の可愛いワンピースの水着を着ていた。
しかし、梨沙の下半身だけが、バイクに乗る前と異なっていた。なぜか、股間の部分だけが透明に透けて見えるのだ。秘部の部分を中止に大きな透明な円ができていて、梨沙の恥毛とその中心の秘裂までが見えていた。
「ちょっとごめん・・・」
柏原は二、三度瞬きをした後、目をゴシゴシと腕で擦った。俺、あんまり梨沙ちゃんのアソコのこと考えてたから、おかしくなっちゃったのかな・・・

 「もう、どうしたの、柏原くん・・・大丈夫だよ、一人で降りられるよ。」
梨沙は不思議そうにそう言うと、左足を大きく上げ、ひょいっとバイクを降りた。
「さっきはごめんね、強く叩いたりして・・・ちょっと怖かったから・・・」
梨沙は少し嘘を混ぜ、にこりと笑った。今は、柏原とずっと抱き合っていたような幸福感を感じていた。

 「え、いや、俺の方こそごめん・・・もう少しゆっくり走れば良かったよね・・・」
柏原は、なぜか上機嫌な笑顔を浮かべている梨沙を前に、にこりともせず、一点を凝視していた。やっぱり、本当に透けてる・・・そうだ、これが梨沙ちゃんのアソコだ・・・

 「ちょ、ちょっと、柏原くん! どこ見てるのよ!?」
柏原の視線が股間に集中していることを悟り、梨沙は赤面した。
「やだ、何か付いてる?」
梨沙は上から水着の前を見下ろした。

 (まずいっ!)エロ水着を着せていたことがばれてしまう・・・柏原は絶句した。ああ、もう、終わりだ・・・

 「・・・別に何も変じゃないじゃない・・・」
梨沙は不思議そうに顔をあげた。
「もう、そんなに見ないでよ・・・」
梨沙は意外なことにほとんど怒らなかった。

 (・・・あ、そういうことか・・・)
海水に濡れた水着は透けるけど、上から見たら普通に見える・・・柏原は、サーフショップの店員の言葉を思い出した。
(でも、待てよ・・・海水なんて、かけてないのに・・・ばっちり透けてるって、どういうことなんだ?)
「いてっ」
ぱちん、と軽く頬を叩かれた。
 
 「もう、いい加減にしてよね・・・ほら、早く行くよ!」
梨沙は柏原を置いて、すたすたと店の扉の方へと歩いていった。

 「・・・あ! ちょ、ちょっと待って、梨沙ちゃん!」
一瞬遅れて、後ろからだとお尻の下の部分が半分透けている梨沙に、柏原は慌てて声をかけた。

 しかし、柏原の呼びかけは無駄に終わり、梨沙は勢いよくその扉を開いた。扉に付けられた鈴がちりりーんと鳴り、中から、いらっしゃいませ、という合唱が聞こえた。

 梨沙が店の中に入った時、中には男性店員と女性店員が一人ずつ、男二人と女一人の三人組のサーファーらしき客がいた。そして皆、梨沙の姿を見て、一瞬言葉を失った。可愛い白ワンピースだけど股間だけ完全に透けている美少女の姿は、あまりにもシュールだった。

 柏原はバイクの鍵を抜き、急いで店に入った。ちりりーんっ、と今度は大きな鈴の音が響いた。中の5人の表情を見て、手遅れだったことを悟った。
「り、梨沙ちゃん・・・早く、シャワーを浴びて、着替えようよ!」

 しかし梨沙は、相変わらず幸福感に満ちた笑顔を浮かべていた。
「え、どうしたの、柏原くん、急に焦っちゃって。ねえ、このお店、色んな水着があるんだね。ちょっと見ていい?」
梨沙はそう言うと、そのまま水着売場の方へ歩き出していた。

 「え、ちょっと、梨沙ちゃん・・・」
柏原は半分パニックに陥った。無理やりシャワーを浴びせようとしたら不審に思われる。しかし、店員と客達は、梨沙が秘部が丸出しの水着を着ている姿をもろに見てしまった。誰かが悲鳴をあげたり、梨沙に教えたりしたら・・・

 「ねえ、これも可愛いよね!」
柏原の焦燥には気付かず、上機嫌の梨沙は花柄ワンピースの水着を手に持って大きな声で言った。梨沙はその水着を身体に当てると、きょろきょろ見回し、隅に置いてある姿見の鏡に気付いた。
「どう、似合うかな・・・」

 「梨沙ちゃん、駄目っ!」
鏡を見たら、自分がアソコ丸出しで歩いていることに気付いてしまう!・・・柏原はダッシュし、梨沙の前に回り込んだ。
「その水着は駄目だな・・・ねえ、あっちの水着の方が可愛いよ!」

 「え、そう・・・?」
息をぜえぜえとしている柏原を不審に感じながらも、梨沙は小さく頷いた。そんなに熱心に言うならいっか・・・柏原くんが好きなの、着たいし・・・
「それで、どれがいいの?」
梨沙は柏原の示す方の水着を見にいった。

 「ほら、これなんか・・・ちょっと大人っぽいけど、梨沙ちゃんに似合うんじゃない?」
少し大人びた水着を指さしながら、柏原は適当なことを言った。店員二人と客三人の、好奇に満ちた視線が梨沙の下半身に向けられているのが辛かった。今は壁際の水着を見ているため、梨沙は5人に対して、裸のお尻の下半分を晒してしまっていた。

 だけど、どうして透けてしまっているんだ・・・海水、すなわち塩分を含んだ液体がかからなければ透けないはずなのに・・・! その時、柏原は一つの可能性に気付いた。人間の体液だって、塩分を含んだ液体だ・・・まさか、梨沙ちゃん、アソコから、愛液を?
 あ、あん、だめぇ、と山を下りるときのバイクでの梨沙の悲鳴が脳裏に蘇った。その時はバイクの運転に必死で、その声は怖がっている悲鳴だと思ったけど・・・あれは、梨沙ちゃんがイきそうな時の声だ・・・でも、5分で戻るはずなのに・・・まだ、愛液が出続けているってことか?・・・

 「・・・ちょっと、どこ見てるの、柏原くん・・・」
梨沙が顔を近付け、小さな声で囁いた。
「恥ずかしいよ、そんなとこ見たら・・・ほら、お店の人とかもこっち見て笑ってるよ・・・」

 「あ、ご、ごめん!」
はっとした柏原は店内を見回した。ちょうど男性店員が何やら3人に話しかけ、こちらを見てにやにやしているところだった。あの店員・・・きっと、この水着が透けるもので、今、俺がいたずらしているところだ、とか説明しているんだろうな・・・おかげで3人の客が騒がないのはありがたかったが、梨沙の下半身が見世物になってしまっているのが辛かった。ごめん、梨沙ちゃん・・・



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